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車の安全評価:NCAP

新しい車を同じ条件で試験し、安全性を評価して点数をつける仕組みがあります。これを新しい車評価計画といいます。この仕組みは、衝突の安全性を試す試験結果を広く知らせることを主な目的としています。おかげで、車を買う人が安全な車を選ぶための大切な目安となっています。この仕組みは、1979年にアメリカで始まり、今では世界中の多くの国で行われています。日本では1995年から自動車評価という名前でこの仕組みが使われ始め、今では私たちの身近なものとなっています。 新しい車評価計画では、様々な試験を通して安全性を様々な角度から評価しています。例えば、実際に車を衝突させる試験や、人が乗っていない状態で様々な装置を動かして安全性を確かめる試験などがあります。衝突試験では、正面衝突や側面衝突、電柱などへの衝突、追突された時の安全性などを調べます。人が乗っていない状態で行う試験では、エアバッグやシートベルトなどの安全装置が正しく作動するかなどを確認します。さらに、事故を未然に防ぐための自動ブレーキなどの性能についても試験が行われています。これらの試験結果を点数化することで、どの車がより安全なのかが分かりやすくなります。 新しい車評価計画は、車を作る会社がより安全な車を作るように促す役割も担っています。試験結果が良い車は高く評価され、消費者に選ばれやすくなります。逆に、結果が悪い車は消費者に敬遠されるため、車を作る会社は安全性を高めるための技術開発に力を入れるようになります。このように、新しい車評価計画は、車全体の安全性を向上させる上で重要な役割を果たしているといえます。
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5マイルバンパー:安全とコストのせめぎ合い

かつて、自動車の守り手として活躍していたものは、重厚な金属製のバンパーでした。その主な役割は、車体を守ること。しかし、ちょっとした衝突事故でも修理費用が高額になることが問題視されるようになりました。そこで求められたのが、衝撃を吸収してくれるバンパーです。 そんな中、時速8キロメートル程度の軽い衝突に対応できる「5マイルバンパー」が登場しました。これは、車体への損傷を最小限に抑える、画期的な安全装置でした。5マイルバンパーは、衝突の際に変形することで衝撃の力を吸収し、修理費用を抑える効果が期待されました。これにより、安全性を高めつつ、家計への負担を軽くすることが目指されました。 5マイルバンパーの仕組みは、主に特殊な素材と構造にあります。素材には、ポリプロピレンなどの樹脂材料や、ウレタンなどの弾力性のある材料が用いられました。これらの材料は、衝撃を受けると変形し、その際にエネルギーを吸収します。また、バンパー内部には、ハニカム構造のような空洞構造が採用される場合もありました。この構造は、軽いながらも強度があり、衝撃を効果的に分散させることができます。さらに、バンパーを車体に取り付ける部分には、衝撃吸収材を挟むことで、より効果的に衝撃を吸収する工夫が凝らされました。 5マイルバンパーの登場は、自動車の安全基準における大きな転換期となりました。それまでの、車体保護を第一とする考え方から、乗員と歩行者の安全、そして経済性も考慮した設計へと変化していきました。その後の自動車設計にも大きな影響を与え、現在では、様々な種類の衝撃吸収バンパーが開発され、自動車の安全性向上に貢献しています。5マイルバンパーは、自動車の歴史における重要な一歩と言えるでしょう。