カッターパス:設計から加工への架け橋
製品を作る過程では、設計図は完成形を頭に思い描くための絵ではありません。設計図をもとに実物を作るには、機械に正確な作業手順を伝える指示が必要です。この指示書と言えるのが、カッターパスです。カッターパスは、人間が作った設計図を、工作機械が理解できる言葉に変換する役割を担っています。人間が使う設計図は、コンピュータ支援設計、いわゆるキャドデータとして作られます。このキャドデータをもとに、工作機械が動くための道筋、つまりカッターパスが作られます。工作機械は、このカッターパスを読み取って材料を削ったり、穴を開けたりすることで、製品の形を作っていきます。カッターパスは、設計と加工をつなぐ重要な役割を担っていると言えるでしょう。
たとえば、車の部品を作る場面を想像してみてください。設計者はコンピュータを使って、部品の形や大きさなどを細かく設計します。しかし、この設計データだけでは、工作機械は部品を作ることができません。工作機械は、数字で表された指示に従って動くからです。そこで、カッターパスが登場します。カッターパスは、設計データをもとに、工作機械が理解できる数字の指示に変換します。具体的には、工作機械の刃物がどこをどの順番で、どれくらいの深さで削るのかといった指示です。この指示に従って、工作機械は正確に材料を加工し、設計図通りの部品を作り出します。
もしカッターパスがなければ、どんなに素晴らしい設計図も、ただの絵に過ぎません。どんなに複雑な形や精巧な部品も、実物として作り出すことはできません。カッターパスは、設計図に命を吹き込む魔法の言葉と言えるでしょう。設計者の思い描いた形を、現実の世界で形にするために、カッターパスは欠かせない存在なのです。