NC制御

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車の生産

旋削加工:回転と切削の妙技

旋削とは、工作物を回転させ、そこに刃物をあてて削ることで、望みの形に仕上げる加工方法です。工作物が回転することで、刃物との接触点が常に移動し、円筒形や円錐形といった回転体を作ることができます。まるで粘土をろくろで回しながら形作るように、金属を削っていく様子を想像してみてください。 この回転運動こそが旋削の最も大きな特徴であり、他の加工方法とは一線を画す点です。例えば、平面を削るには平削り盤という平らな刃物を使う方法もありますが、旋削では回転という動きを利用することで、一本の刃物で様々な形状を作り出すことが可能です。円筒の外側を削る外径旋削だけでなく、内側を削る内径旋削、端面を削る端面旋削、溝を掘る溝入れ、ネジを切るねじ切りといった多様な加工に対応できます。 旋削は、古くから行われてきた由緒正しい加工方法です。その歴史は金属加工の黎明期まで遡り、現代の工業生産においても重要な役割を担っています。特に、同じ部品を大量に作る必要がある場合や、ミクロン単位の非常に高い精度が求められる部品の製造に適しています。自動車のエンジン部品や機械の軸、ボルトやナットなど、私たちの身の回りにある多くの製品が、旋削加工によって作られています。 旋盤という工作機械を用いることで、刃物の送り速度や切削深さを精密に制御することができ、複雑な形状も高い精度で作り出すことが可能です。材料も、鋼やアルミ、真鍮、樹脂など様々なものが使用されます。旋削は、まさに現代社会を支えるなくてはならない技術と言えるでしょう。
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型板:ものづくりの陰の立役者

型板とは、複雑な形をした部品を作る際に、工具の動きを調整したり、出来上がりの形を確認するための道具です。特に、軸に段や曲線をつけるような加工で力を発揮します。 型板を使うことで、同じ形を何度も正確に作ることができます。まるで熟練の職人が持つ、確かな技術を形にしたかのようです。型板の形は、作りたい部品の形とは反対の形、つまり部品の「型」となるように作られます。ちょうど粘土遊びで使う型のようなものです。粘土を型に押し付けると、型の形をした粘土が出来上がるように、金属の部品も型板を使って形を整えます。 しかし、ただ作りたい部品の形を反転させただけでは、正確な部品は作れません。なぜなら、工具の先端部分の形や動きも考慮する必要があるからです。例えば、丸い穴を開けたい場合、ドリルのような先の尖った工具を使います。この時、ドリル先端の動きに合わせて型板の形を調整する必要があるのです。もし、工具の動きを考えずに型板を作ってしまうと、出来上がった部品は思っていた形とは違うものになってしまうかもしれません。 そのため、型板の設計には、工具の特性を理解し、加工方法を熟知した職人の経験と知識が欠かせません。工具の種類や使い方、材料の性質など、様々な要素を考慮して、正確な部品を作るための設計図とも言える型板を作り上げるのです。まさに、職人の知恵と技が凝縮されたものと言えるでしょう。