車の心臓部、整流器の役割
車は、様々な電気仕掛けの機器で溢れています。明るい照明、心地よい温度を保つ冷暖房、道案内をしてくれる地図表示装置など、これらは全て直流電力で動いています。しかし、車の発電機は交流電力を作り出します。そこで、整流器の出番です。整流器は、交流電力を直流電力に変換する、いわば電気の変換装置です。発電機で作られた電力は、まず整流器に送られます。整流器の中には、電流の流れを一方通行にするダイオードと呼ばれる部品が複数組み込まれており、これらが交流電力の波形をプラスの値だけに整えます。こうして、プラスとマイナスが交互に入れ替わる交流電力が、プラス方向へ一定に流れる直流電力に変換されるのです。変換された直流電力は、車のバッテリーに蓄えられます。バッテリーは、エンジンが停止している時でも、各機器に電気を供給する役割を担っています。また、整流器はバッテリーへの過充電も防ぎます。バッテリーが必要とする以上の電力が供給されると、バッテリーは劣化したり、最悪の場合、破損してしまう可能性があります。整流器は、バッテリーの充電状態を監視し、必要以上の電力が流れないように制御することで、バッテリーの寿命を延ばします。整流器が正常に働いていなければ、電装品は正しく作動しません。快適な運転はもちろん、安全な運転にも支障をきたす可能性があります。普段は目に触れることはありませんが、整流器は車の電気系統を支える重要な部品なのです。