車の骨格:リーンフォースメント
車の車体は、一見すると薄い鉄板を繋ぎ合わせただけのように見えます。しかし、薄い鉄板だけでは、日々の運転で受ける振動や、万が一の衝突の際に発生する衝撃に耐えることは到底できません。そこで、車体の強度を支える縁の下の力持ちとして活躍するのが「リーンフォースメント」です。
リーンフォースメントとは、車体の骨格を強化するための補強材です。ちょうど建物で柱や梁が建物を支えているように、リーンフォースメントは車体にとってなくてはならない存在です。具体的には、断面がコの字型や閉じた箱型の部材が、車体の主要な骨格部分に溶接または接着されることで、車体全体の強度を高めています。
リーンフォースメントは、乗員の安全を守る上でも重要な役割を果たします。衝突事故が発生した場合、リーンフォースメントは衝撃を吸収・分散し、車体の変形を最小限に抑えることで、乗員へのダメージを軽減します。また、走行中の振動を抑制することで、乗り心地の向上にも貢献しています。
さらに、リーンフォースメントは、車体のねじれ剛性を高める効果もあります。ねじれ剛性とは、外からの力に対して車体がどれだけ変形しにくいかを表す指標です。ねじれ剛性が高い車は、カーブを曲がるときや、でこぼこ道を走るときでも安定した走行性能を発揮します。リーンフォースメントは、見えないところで車体の強度を高め、乗員の安全を守り、快適な運転を実現するために、重要な役割を担っていると言えるでしょう。