車の心臓部、エンジンの仕組み
車は、ガソリンを燃やすことで力を得て動いています。この力は、エンジンの中でピストンと呼ばれる部品を上下に動かすことで生まれます。自転車のペダルを思い浮かべてみてください。ペダルも上下に動きますよね。エンジンのピストンも同じように動きます。ピストンが動く範囲には限りがあり、一番上まで上がった時と一番下まで下がった時のことを「死点」と言います。一番上の位置を上死点、一番下の位置を下死点と言います。
エンジンはこの上死点と下死点を基準に動いています。ピストンが上死点から下死点まで、そしてまた上死点まで戻る、この一連の動きを繰り返すことでエンジンは力を生み出します。このピストンの上下運動は、クランクシャフトという部品によって回転運動に変換されます。自転車のペダルも同じです。ペダルを上下に動かすと、チェーンを通してタイヤが回転しますよね。エンジンも同様に、ピストンの上下運動がクランクシャフトを回転させ、その回転が最終的にタイヤに伝わり、車を走らせます。
ピストンが上死点と下死点の間を動く距離のことを「行程」と言います。この行程の長さによって、エンジンの性能が変わってきます。行程が長いエンジンは、一度に多くの力を出すことができますが、回転する速さは遅くなります。逆に、行程が短いエンジンは、回転する速さは速いですが、一度にたくさんの力は出せません。エンジンの種類によって、行程の長さが調整され、車の種類や用途に合わせたエンジンが作られています。
このように、エンジンはピストンの上下運動を回転運動に変換することで、車を走らせるための力を生み出しているのです。自転車のペダルを漕ぐ動きをイメージすると、エンジンの仕組みを理解しやすいでしょう。小さなピストンの動きが、大きな車を動かす力へと変わる、エンジンの巧妙な仕組みに、改めて感心させられます。