乗り心地を左右する振動レベル
車のことを知りたい
先生、「振動レベル」って一体何ですか?dBという単位で表されるようですが、よく分かりません。
車の研究家
そうですね。「振動レベル」は、人が感じる振動の強さを数値で表したものだよ。車で言うと、乗り心地の良し悪しを数値化したものと言えるかな。 dBはデシベルと読み、音の大きさなどを表す時にも使われる単位だね。
車のことを知りたい
人が感じる振動の強さ…ですか。振動の速さとか、揺れの大きさとは違うんですか?
車の研究家
良いところに気がついたね。振動の速さや揺れの大きさも関係するけれど、人の感覚は周波数(振動の回数)によって違うんだ。低い周波数の振動と高い周波数の振動では、同じ揺れの大きさでも感じ方が違う。振動レベルは、周波数による違いを考慮して、人が感じる振動の強さを数値にしているんだよ。
振動レベルとは。
車が揺れる強さを表す言葉「振動レベル」について説明します。この言葉は、人が揺れをどのくらい感じるかを数値で表すためのものです。揺れの速さ(周波数)ごとに、人が感じやすい揺れとそうでない揺れに重みをつけて計算されます。具体的には、基準となる揺れの強さと比べた揺れの加速度の比を計算し、その常用対数の2乗を10倍することで求めます。この計算によって、人が感じる揺れの大きさを、実際に測った数値で客観的に評価できるようになります。「振動レベル」は、JIS規格C1510で定められた「振動レベル計」という機械を使って測ります。この機械には、人が感じる揺れに合わせて調整する仕組み(振動感覚補正回路)が備わっています。単位はデシベル(dB)を使います。
振動レベルとは
車は、走ることで生まれる様々な揺れを乗っている人に伝えます。この揺れの大きさを数値で表したものが振動レベルです。道路のデコボコや、エンジンの動き、タイヤの回転など、様々なものが揺れの原因となります。これらの揺れが組み合わさって、車全体が揺れ、それが座席を通じて乗っている人に伝わります。
この振動レベルは、ただ揺れの強さを測るだけでなく、人がどれくらい不快に感じるかということも考えて計算されています。同じ大きさの揺れでも、揺れの速さによって感じ方が違います。例えば、ゆっくりとした揺れは心地よく感じることもありますが、速い揺れは不快に感じることが多いです。そこで、振動レベルでは、人の感じ方に合わせて、揺れの速さごとに重みをつけて計算しています。
静かな図書館の中のように、ほとんど揺れを感じない場所では、振動レベルは低くなります。逆に、大きな機械が動いている工場の中のように、強い揺れを感じる場所では、振動レベルは高くなります。車の中では、道路の状態や車の速度によって、振動レベルは変化します。平らな道路をゆっくり走っているときは振動レベルは低く、荒れた道路を速く走っているときは振動レベルは高くなります。
振動レベルを知ることで、乗り心地の良し悪しを数値で比べることができます。車を作る人は、振動レベルを下げるために、様々な工夫をしています。例えば、車のサスペンションを改良することで、道路からの揺れを吸収し、車内の振動レベルを下げることができます。また、エンジンのマウントを工夫することで、エンジンの揺れが車体に伝わるのを抑え、振動レベルを下げることもできます。このように、振動レベルは、乗り心地を良くするために重要な指標となっています。
項目 | 説明 |
---|---|
振動レベル | 車の揺れの大きさを数値化したもの。人の不快感も考慮。 |
揺れの原因 | 道路のデコボコ、エンジンの動き、タイヤの回転など |
揺れの速さの影響 | 同じ大きさの揺れでも、速い揺れは不快に感じやすい。振動レベルは揺れの速さごとに重みをつけて計算。 |
振動レベルの例 | 静かな図書館:低い、大きな機械が動いている工場:高い、車:道路の状態や速度によって変化 |
振動レベルの利用 | 乗り心地の良し悪しを数値で比較。車を作る人は振動レベルを下げる工夫をしている。 |
振動レベル低減の工夫例 | サスペンションの改良、エンジンのマウントの工夫 |
振動レベルの測定方法
揺れの大きさを測ることを「振動レベル測定」と言い、専用の機械である「振動レベル計」を使います。この機械は、揺れを捉える「振動感知器」と、その揺れの大きさを数値に変える「処理装置」からできています。
測定したい場所に振動レベル計を置き、決まった時間揺れを測ります。このとき、人の感覚に合わせた値にするため、「振動感覚調整回路」という特別な回路を使います。人の耳は、低い音も高い音も同じ大きさの音として聞くわけではなく、ある音の高さは大きく感じ、ある音の高さは小さく感じます。同じように、低い揺れと高い揺れでは、同じ大きさの揺れでも感じ方が違います。この違いを調整するのが振動感覚調整回路です。この回路によって、揺れの高さごとの重み付けを行い、人が実際に感じる揺れの大きさに近い値を出します。
測定結果は「デシベル(記号はdB)」という単位で表します。この単位は、音の大きさなどを表すのにも使われます。数値が大きいほど、揺れが大きいことを示します。たとえば、静かな部屋では30dBくらいですが、電車が通ると80dBくらいになります。
振動レベル計には、様々な種類があります。簡単なものでは、ある一点の揺れだけを測るものがあります。また、複雑なものでは、複数の点の揺れを同時に測ったり、揺れの波形を記録したりできるものもあります。測定する目的や状況に合わせて、適切な振動レベル計を選び、正しく使うことが大切です。揺れの測定は、建物や乗り物の安全性を確認するためなど、様々な場面で役立っています。
項目 | 説明 |
---|---|
振動レベル測定 | 揺れの大きさを測ること |
振動レベル計 | 揺れの大きさを測定する機械。振動感知器と処理装置から構成される。 |
振動感覚調整回路 | 人の感覚に合わせた揺れの大きさを測るための回路。揺れの高さごとに重み付けを行い、人が実際に感じる揺れの大きさに近い値を出す。 |
測定単位 | デシベル(dB)。数値が大きいほど揺れが大きい。 |
振動レベル計の種類 | 一点の揺れのみを測るもの、複数の点の揺れを同時に測るもの、揺れの波形を記録できるものなどがある。 |
乗り心地への影響
車に乗っている時の揺れの大きさは、快適さに直結する要素です。揺れが激しいと、車内の人は不快感を覚え、長時間の運転では疲れや心に負担がかかることもあります。反対に、揺れが少ない車は快適で、乗っている人はリラックスできます。
この揺れは、路面の凸凹など様々な要因で発生しますが、車を作る会社は、揺れを抑えるための様々な工夫を凝らしています。例えば、ばねやダンパーで構成される「足回り」と呼ばれる部品の改良は、揺れを吸収する上で重要な役割を果たします。
足回りを構成する部品の種類や組み合わせを変えることで、車ごとに異なる乗り心地を実現できます。例えば、柔らかなばねを使うと、ふわふわとした乗り心地になりますが、カーブを曲がるときに車体が大きく傾くなど、安定性に欠ける場合があります。逆に、硬いばねを使うと、路面の凹凸を伝えやすくなり、がたがたとした乗り心地になりますが、車体の安定性は向上します。
車体の重さそのものも、揺れに影響を与えます。軽い車は、路面の変化に敏感に反応しやすく揺れやすい傾向があります。反対に、重い車は、路面の変化の影響を受けにくく、安定した乗り心地になりやすいです。
車体の形も、揺れの大きさを左右する要素の一つです。空気抵抗の少ない形は、高速で走る時に安定した走行をもたらしますが、横風を受けやすいといった欠点もあります。
このように、乗り心地は様々な要素が複雑に絡み合って決まります。車を選ぶ際には、自分の好みに合った乗り心地の車を選ぶことが大切です。試乗などを通して、実際に乗り心地を確かめることをお勧めします。
要素 | 詳細 | 乗り心地への影響 |
---|---|---|
足回り(ばね) | – 柔らかいばね:ふわふわとした乗り心地、安定性低め – 硬いばね:がたがたとした乗り心地、安定性高め |
乗り心地と安定性のバランス |
車体の重さ | – 軽い車:揺れやすい – 重い車:安定した乗り心地 |
揺れの大きさ |
車体の形 | – 空気抵抗が少ない:高速走行時の安定性向上、横風を受けやすい | 安定性、横風への反応 |
車種による違い
車種によって乗り心地が大きく変わる要因の一つに、振動の大きさがあります。車を作る上で、それぞれの車は目指す性能や用途が異なり、それに合わせて振動対策も変わってきます。大きく分けると、高級車、一般車、スポーツカー、貨物車などで、それぞれ振動特性が違います。
高級車は、乗る人の快適性を一番に考えて作られています。そのため、静かで振動の少ない乗り心地を実現するために、様々な工夫が凝らされています。車体の構造を工夫して振動を吸収しやすくしたり、特殊な部品を使って振動を打ち消したり、振動を抑える特別な素材を使ったりしています。これらの工夫によって、路面の凹凸やエンジンからの振動が乗る人に伝わりにくくなり、快適な移動空間を提供しています。
一般車は、快適さと価格のバランスを考えて作られています。高級車ほどではないものの、ある程度の快適性を確保するために、振動対策が施されています。しかし、価格を抑える必要もあるため、高級車ほど多くの技術や高価な部品は使われていません。
スポーツカーは、速く走ることを一番に考えて作られています。そのため、車体が軽く、エンジンの力も強くなっています。振動を完全に抑えてしまうと、車の動きが鈍くなってしまうため、ある程度の振動は許容されています。むしろ、路面の状態や車の動きが運転手に伝わるように、あえて振動を残している場合もあります。ドライバーは、この振動から情報を得て、運転操作に役立てています。
貨物車は、多くの荷物を運ぶことを一番に考えて作られています。そのため、車体が大きく頑丈に作られています。積載する荷物の重さによっても振動の大きさが変わるため、空荷の状態と満載の状態では、振動の伝わり方が大きく変わります。
このように、車種によって振動に対する考え方が大きく異なり、それが乗り心地の違いにつながっています。車を選ぶ際には、それぞれの車の特徴を理解し、自分の用途や好みに合った車種を選ぶことが大切です。
車種 | 目的 | 振動対策 | 乗り心地 |
---|---|---|---|
高級車 | 快適性 | 車体構造、特殊部品、特殊素材 | 静かで振動が少ない |
一般車 | 快適性と価格のバランス | 高級車ほどではないが、振動対策あり | ある程度の快適性 |
スポーツカー | 速く走る | 振動をある程度許容、路面情報伝達 | 振動がある |
貨物車 | 多くの荷物を運ぶ | 積載量による振動変化 | 空荷時と満載時で振動が大きく変わる |
今後の展望
車がこれからどのように進化していくのか、揺れの感じ方を中心に見ていきましょう。
車が快適に走るために、揺れを少なくすることはとても大切です。技術の進歩によって、車はどんどん揺れにくくなっています。路面のデコボコや車の速度に合わせて、自動で揺れを調整する仕組みも、近いうちに実現するかもしれません。
特に、電気で走る車は、ガソリンで走る車のようなエンジンの揺れがありません。そのため、電気自動車の普及は、車内の揺れをさらに少なくすることに繋がります。
揺れは、騒音と同じように、私たちの体に負担をかけることがあります。ですから、車内の揺れ具合を適切に管理することは、これからますます重要になるでしょう。
乗っている人が快適だと感じるだけでなく、健康にも良い車を作ることが、これからの車作りの大切な点です。例えば、体に負担の少ないシートの開発や、乗り心地を良くするためのサスペンションの改良などが挙げられます。
さらに、自動運転技術の進歩も、揺れを少なくすることに貢献するでしょう。自動運転車は、周りの状況を正確に把握し、スムーズな運転を心がけるため、急ブレーキや急ハンドルを減らすことができます。
このように、様々な技術革新が、車内の揺れを軽減し、より快適で健康的な移動を実現していくと考えられます。未来の車は、単なる移動手段ではなく、乗る人の健康を支える、より進化した存在になるでしょう。