リンケージ型パワステとは?
車のことを知りたい
リンケージ型パワーステアリングって、どういう仕組みなんですか?
車の研究家
簡単に言うと、ハンドル操作を油圧で補助する仕組みで、油圧を使う装置がハンドル機構とは別に設置されているんだよ。ハンドルを回すと、その動きが油圧装置に伝わり、油圧でハンドル操作を軽くしてくれるんだ。
車のことを知りたい
油圧装置が別にあるって、どういうことですか?
車の研究家
ハンドルを切る力を油圧で増幅させる装置が、ハンドル機構とつながっているんだけれど、一体になっているものと別になっているものがあるんだ。リンケージ型は別になっているもので、一体型と比べると部品が多く複雑だけど、大きな力が必要な大型車に向いているんだよ。今では技術が進歩して、一体型でも大きな力を出せるようになったから、リンケージ型はあまり使われなくなったけどね。
リンケージ型パワーステアリングとは。
『リンケージ型パワーステアリング』とは、主に生産台数の少ない大型車に使われていた、ハンドル操作を補助する仕組みのことです。大型車では、ハンドル操作を補助する装置を、ハンドルを切る機構と一体化するのが費用面で難しく、また大きな力を出すのも難しいという理由から、別々の部品として設置するリンケージ型が主流でした。この方式では、油圧を利用した倍力装置がハンドル操作を助けます。具体的には、タイロッドやドラッグリンクといった部品に、油圧で動くシリンダーを取り付け、それらを関節で繋いでいます。ハンドルを切ると、その動きがドラッグリンクを介して油圧の調節弁に伝わり、ポンプから送られる油圧がシリンダーの左右どちらかに作用することで、ハンドル操作を軽くします。ハンドルを切っていないときは、油圧は左右の部屋を循環するだけで、力はかかりません。しかし、1960年代半ば以降、中型や大型トラック向けにハンドル操作補助装置とハンドル機構を一体化させた方式の開発が進み、大型車の一部を除いて、よりシンプルな一体型が主流になりました。
油圧で操舵を補助
自動車の操舵装置、つまりハンドルを切る機構には、油圧を利用して運転者の負担を軽くする仕組みがあります。これは、油圧式パワーステアリングと呼ばれ、特に大型の車や重量のある車などで広く使われています。
油圧式パワーステアリングの基本的な仕組みは、油圧によってハンドル操作に必要な力を増幅させることにあります。エンジンによって駆動される油圧ポンプが油圧を作り出し、この油圧が操舵機構の中にあるシリンダー、つまり油圧で動く筒状の部品に送られます。ハンドルを切ると、このシリンダーに送られる油の量が調整され、シリンダーが伸縮することでタイヤの向きを変えるための大きな力を発生させます。
油圧を使うことで、運転者は少ない力でハンドルを操作できます。例えば、大型トラックやバスなど、ハンドル操作に大きな力が必要な車でも、女性や高齢者でも楽に運転できます。また、路面の凹凸などによるハンドルへの衝撃も油圧が吸収してくれるため、スムーズで安定した操舵が可能です。
しかし、油圧式パワーステアリングは、常に油圧ポンプを動かす必要があるため、エンジンの動力を少し消費するという側面もあります。そのため、近年では電動式パワーステアリングの採用も増えてきています。これは、電動モーターでハンドル操作を補助する仕組みで、油圧式に比べて燃費の向上に貢献します。それぞれの方式には利点と欠点があるので、車の種類や用途に合わせて使い分けられています。
種類 | 仕組み | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
油圧式パワーステアリング | 油圧でハンドル操作に必要な力を増幅 | 少ない力でハンドル操作が可能、スムーズで安定した操舵 | エンジン動力の消費 |
電動式パワーステアリング | 電動モーターでハンドル操作を補助 | 燃費の向上 | (油圧式と比較したデメリットは記載なし) |
大型車における採用
大型車は、乗用車に比べて生産台数が少ないため、製造にかかる費用をいかに抑えるかが重要な課題となります。特に、操舵装置のような主要部品は、設計や製造に多額の費用がかかるため、コスト削減の工夫が求められます。
従来の大型車では、リンケージ式パワーステアリングが主流でした。リンケージ式は、油圧ポンプで作られた油圧を利用して、複数の部品を連結したリンケージ機構を介してタイヤの向きを変えます。この方式は、一体型の操舵機構に比べて、いくつかの利点がありました。
まず、リンケージ式は設計の自由度が高い点が挙げられます。大型車は車種によって大きさや形状が大きく異なり、操舵装置の配置もそれぞれ異なります。リンケージ式は、部品の組み合わせを変えることで、様々な車種に対応できるため、車種ごとに設計を一からやり直す必要がなく、開発コストを抑えることができます。
次に、大型車は操舵に必要な力も大きいため、大きな倍力が必要になります。リンケージ式は、油圧を利用することで大きな倍力を得やすく、大型車のような重い車両でも比較的軽い力でハンドル操作ができます。
一方で、一体型操舵機構は、部品点数が少なく、構造が簡素なため、乗用車では広く採用されています。しかし、大型車に採用するには、いくつかの課題がありました。一つは、大型車特有の大きな操舵力への対応です。一体型機構では、リンケージ式ほど大きな倍力を得るのが難しく、大型車ではハンドル操作が重くなってしまう可能性がありました。また、車種ごとに設計変更が必要となるため、少量生産の大型車ではコストが高騰する要因となっていました。
このような背景から、大型車では、コストと性能のバランスに優れたリンケージ式パワーステアリングが長らく採用されてきたのです。近年では、技術の進歩により、一体型機構でも大型車に対応できるだけの性能を持つものが開発されていますが、リンケージ式は、その信頼性と実績から、現在でも多くの大型車で利用されています。
項目 | リンケージ式パワーステアリング | 一体型操舵機構 |
---|---|---|
生産台数 | 大型車(少量生産) | 乗用車(大量生産) |
コスト | 低い(設計変更が少ない) | 高い(車種ごとに設計変更が必要) |
操舵力 | 軽い(大きな倍力) | 重い(大きな倍力を得にくい) |
設計自由度 | 高い(部品の組み合わせ変更可) | 低い |
部品点数 | 多い | 少ない |
構造 | 複雑 | 簡素 |
仕組みと構造
車を動かすために重要な役割を果たす動力舵取り装置、その中でも油圧を使った方式の仕組みと構造について詳しく見ていきましょう。油圧式動力舵取り装置は、主に油圧ポンプ、油圧配管、制御弁、油圧シリンダー、そして連結棒などの部品から構成されています。これらの部品が連携して働くことで、運転者はハンドル操作を軽く行うことができます。
まず、油圧ポンプは油圧を生み出す心臓部です。エンジンの回転を利用して油を圧送し、油圧配管を通じて装置全体に油を送り出します。この油圧が動力舵取り装置を動かす力の源となります。次に、制御弁は油の流れを調整する重要な部品です。ハンドルの回転方向や角度に応じて、制御弁が油圧シリンダーの左右どちらの部屋に油を送るかを切り替えます。ハンドルを右に回すと、制御弁は油をシリンダーの右側に送り、左に回すと左側に送ります。
油圧シリンダーは、油圧をタイヤの回転力に変換する部品です。シリンダー内部にはピストンがあり、制御弁から送られた油の圧力によってピストンが押し出されます。このピストンの動きが連結棒を介してタイヤに伝わり、タイヤの向きが変わります。連結棒は、油圧シリンダーとタイヤをつなぐ棒状の部品です。油圧シリンダーの動きをタイヤに正確に伝える役割を担っています。
このように、油圧ポンプ、制御弁、油圧シリンダー、そして連結棒が協調して働くことで、少ない力でハンドル操作を行うことができるのです。油圧式動力舵取り装置は、大型車や特殊車両など、ハンドル操作に大きな力が必要な車に広く採用されています。
一体型との比較
自動車の動力を操舵力に変換する装置、パワーステアリングには、大きく分けて二つの種類があります。一つは油圧装置と操舵機構が別々のリンケージ型、もう一つはそれらが一体となった一体型です。この一体型パワーステアリングについて詳しく見ていきましょう。
一体型パワーステアリング最大の特徴は、油圧を生み出す装置と実際にタイヤの向きを変える操舵機構が一つにまとめられていることです。この構造のおかげで、部品の数が少なくなり、装置全体の大きさと重さを抑えることができます。結果として、自動車の製造にかかる費用を抑えられ、さらに軽量化による燃費の向上も見込めます。部品が少ないということは、それだけ故障する可能性のある箇所も減るということで、信頼性の向上にも繋がります。
一体型パワーステアリングは、1960年代半ば頃から中型や大型の貨物自動車向けに開発、製造が始まりました。それ以前はリンケージ型が主流でしたが、一体型の持つ様々な利点から、多くの車種で一体型が採用されるようになりました。現在では、中型から大型の貨物自動車だけでなく、乗用車にも広く使われています。 一体型は、特にスペースが限られている小型車にとって大きなメリットとなります。
リンケージ型と比べると、一体型は構造が単純で、製造や整備の面でも扱いやすいという利点があります。また、油圧系統が操舵機構と一体化されているため、油圧配管が短くなり、油漏れのリスクを低減できます。このように、一体型パワーステアリングは、様々な面で自動車の進化に貢献してきた重要な技術と言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
特徴 | 油圧装置と操舵機構が一体化 |
メリット |
|
歴史 | 1960年代半ば頃から中型・大型貨物自動車向けに開発開始、現在では乗用車にも広く普及 |
技術の進歩と変化
車の技術革新は目覚ましく、運転を助ける装置も常に進化しています。その代表例として、ハンドル操作を軽くする装置の変遷を見てみましょう。以前は油の圧力を使った仕組みが主流でしたが、最近は電気の力で動かす方式が広く使われるようになっています。この電気式の仕組みは、油を使う装置に比べて多くの利点があります。
まず、油の圧力を作る装置や油を送る管が必要ないので、車の構造を簡素化できます。これは、車の重さを軽くすることに繋がり、燃費の向上に役立ちます。また、油を使う装置は常に油を循環させる必要があり、そのためにエンジンの力の一部が使われていました。電気式では必要な時だけモーターを動かすので、エンジンの負担を減らし、より効率的に車の走りを支えることができます。このことから、地球環境への影響も少なくなることが期待されます。
さらに、電気で制御する方式は、状況に応じてハンドルの重さを細かく調整できるという大きな利点があります。例えば、駐車場など低速で走る時はハンドルを軽く、高速道路など速く走る時はハンドルを重くすることで、運転のしやすさと安全性を両立できます。また、路面の状況に合わせてハンドルの動きを自動的に調整する高度な機能も実現可能です。
これらの優れた点から、電気式のハンドル操作補助装置は、小さな車から大きな車、一般的な車から高級車まで、様々な車種に採用されています。技術の進歩は、車をより快適に、より安全に、そしてより環境に優しく進化させていると言えるでしょう。
項目 | 油圧式 | 電動式 |
---|---|---|
構造 | 複雑(油圧装置、油送管が必要) | 簡素 |
燃費 | 低い | 高い |
エンジンの負担 | 大きい | 小さい |
ハンドルの重さ | 固定 | 可変(状況に応じて調整可能) |
環境負荷 | 大きい | 小さい |
採用車種 | – | 多様(小型車〜大型車、一般車〜高級車) |
現代における役割
車は、現代社会においてなくてはならない存在となっています。人や物を運ぶだけでなく、経済活動や社会生活を支える重要な役割を担っています。特に移動手段としての役割は大きく、通勤や通学、買い物、旅行など、日常生活の様々な場面で利用されています。自動車の普及により、人々の行動範囲は広がり、より多くの機会にアクセスできるようになりました。地方では、車がないと生活が困難な地域も多く、生活の維持に欠かせないものとなっています。
また、経済活動においても車は重要な役割を果たしています。物流の効率化に貢献し、企業の生産性向上に寄与しています。トラックや配送車による商品の輸送は、消費者へ商品を届けるだけでなく、生産者から工場、工場から販売店へと商品を移動させる過程でも不可欠です。農作物の輸送や建築資材の運搬など、様々な産業で車が活躍しています。さらに、自動車産業そのものが、多くの雇用を生み出し、経済成長を支えています。自動車メーカーだけでなく、部品メーカー、販売店、整備工場など、関連産業を含めると、非常に多くの人が自動車に関わる仕事に従事しています。
さらに、地域社会の活性化にも車は貢献しています。過疎化が進む地域では、車の存在は特に重要です。買い物や通院など、生活に必要なサービスを受けるための移動手段として、車はなくてはならない存在となっています。また、観光客が各地を巡る際にも、車は重要な交通手段となっています。車を利用することで、観光客は自由に観光地を巡り、地域経済に貢献することができます。このように、車は人々の生活、経済活動、そして地域社会を支える重要な役割を担っており、現代社会において欠かせない存在となっています。技術革新により、自動運転技術や環境に優しい電気自動車など、車の進化は続いており、今後も私たちの生活に大きな影響を与え続けるでしょう。
車の役割 | 詳細 |
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移動手段 | 通勤、通学、買い物、旅行など、日常生活の様々な場面で利用。行動範囲の拡大。地方での生活維持に不可欠。 |
経済活動 | 物流の効率化、企業の生産性向上。商品の輸送(消費者、生産者、工場、販売店)。農作物、建築資材の運搬。自動車産業による雇用創出と経済成長。 |
地域社会 | 過疎地の生活支援(買い物、通院)。観光客の移動手段。地域経済への貢献。 |