現場主義に基づく車づくり

現場主義に基づく車づくり

車のことを知りたい

先生、『3現主義』って、ただ現場に行ってものを見ればいいってだけじゃないんですよね?よくわからないです。

車の研究家

そうだね、ただ見るだけではないよ。大切なのは、現場で『現物』『現実』『現状』をしっかり把握することなんだ。例えば、車が故障した場合、故障した車(現物)を、実際に目で見て(現実)、どんな状況で故障したのか(現状)を確認することが重要なんだ。

車のことを知りたい

なるほど。でも、それって当たり前のような気がします。具体的にどうすればいいんですか?

車の研究家

例えば、故障した車の部品をよく見て、摩耗しているのか、破損しているのかを確認する。そして、どんな時に故障したのか、運転していた人に話を聞いて状況を把握する。そうやって、原因を特定し、対策を考えるんだよ。過去の経験だけで判断するのではなく、現場で事実を積み重ねることが大切なんだ。

3現主義とは。

自動車を作る上でよく使われる『3つの『現』に基づく考え方』(現場、現物、現実)について説明します。ものづくりの中で問題が起きた時、これまでの経験や勘に頼って解決しようとするだけでは、本当の原因を見つけることは難しく、確実な対策にはなりません。そこで、実際に問題が起きている場所へ行き、現物を見ながら現状を自分の目で確かめて、原因を突き止めることで、確実な対策を立てることができます。これが3つの『現』に基づく考え方です。さらに、対策を講じる際には、物事の根本的な理由や法則に基づいて判断をすることが大切だという『5つの『現』に基づく考え方』(現場、現物、現実、原理、原則)も提唱されています。

現場の大切さ

現場の大切さ

車を作る仕事では、良い車を作るため、また何か困ったことが起きた時に、過去の経験や何となくの感じに頼るだけではなく、実際に何が起きているのかを自分の目で確かめることがとても大切です。これは「3つの現場」を大切にする考え方で、実際にその場所、物、現実を見ることを重視します。

工場で作っているところや、テスト走行しているところを直接見て、触って、自分の五感すべてを使うことで、数字や報告書だけでは分からない本当のことに近づくことができます。例えば、新しい車を作っている時、ある部品から出ている音が思ったよりも大きいという問題が起きたとします。過去の経験から、材料を変えるだけで解決できると考えるのではなく、実際に車に乗って音を聞き、揺れを感じ、どの場所から音がしているのかを確かめることで、より良いやり方を見つけることができます。

問題の原因を見つけて、対策を考える時は、机の上だけで考えるのではなく、現場で働く技術者や作業員の意見を聞くことも大切です。彼らは毎日物に触れ、現実の問題に向き合っているので、とても大切なことを知っています。彼らの声に耳を傾けることで、より実際に役立つ解決策を見つけることができるでしょう。

また、現場で働く人たちは、長年の経験から培われた「勘」のようなものを持っています。これは数値化できない、言葉で表現しにくいものですが、車の品質を維持し、向上させるためには欠かせないものです。若い技術者は、ベテランの技術者からこの「勘」を学ぶことで、より早く一人前の技術者へと成長することができます。このように、現場には机の上では決して得られない、多くの情報や知恵が詰まっているのです。だからこそ、現場を大切にすることで、より良い車を作ることができるのです。

現場での行動 目的 得られる結果
実際に見て、触って、五感を使う 数字や報告書だけでは分からない本当のことに近づく より良いやり方を見つける
車に乗って音を聞き、揺れを感じ、音の出所を確かめる 問題の原因を特定 より良い解決策を見つける
現場の技術者や作業員の意見を聞く 現実の問題への理解を深める 実際に役立つ解決策を見つける
ベテランの技術者から「勘」を学ぶ 品質維持・向上に必要な暗黙知を習得 技術者としての成長

問題解決の進め方

問題解決の進め方

何か困りごとがあった時、解決策を見つけるには、まず現場をよく観察することが大切です。机の上で資料を見ているだけでは、本当の状況はわかりません。問題が起きている現場へ行き、自分の目で見て、何が起こっているのかを確かめる必要があります。これを「現物を見る」と言います。例えば、工場で製品に傷が付く問題が発生したとします。報告書を読むだけでは、傷の種類や付くタイミングはわかりません。しかし、実際に工場へ行き、製品や機械の状態、作業工程を注意深く観察することで、報告書には書かれていない情報が見えてきます。傷の大きさや形、付いている位置、機械の動きなどを観察することで、問題の本当の原因に近づくことができるのです。

現場で働く人の話を聞くことも重要です。彼らは毎日現場で作業をしているので、問題点や改善策について貴重な情報を持っています。「現人」から話を聞くことで、資料からはわからない現場の状況や、作業上の課題、実際に困っていることなどがわかります。例えば、製品に傷が付く問題の場合、作業者に話を聞くと、「この機械は古くて動きが悪く、操作しづらい」といった声が聞かれるかもしれません。このような情報は、報告書には載っていない現場の生の声であり、問題解決の重要な手がかりとなるのです。

現場で起きていることをありのままに把握する「現実把握」も大切です。問題が起きた時、すぐに結論を出すのではなく、何が起こっているのかを正確に理解する必要があります。例えば、製品に傷が付く問題で、作業者の話を聞かずに「機械の不良」と決めつけてしまうと、本当の原因を見逃してしまう可能性があります。温度や湿度の変化、作業手順の変更など、様々な要因が考えられます。現場をよく見て、作業者と話し、情報を集めることで、問題の全体像を把握し、より適切な解決策を見つけ出すことができるのです。このように、「現物」「現人」「現実」の3つを軸に、現場をよく観察し、関係者と対話することで、隠れた問題点を見つけ出し、より効果的な解決策を導き出すことができるのです。

問題解決の進め方

品質向上への取り組み

品質向上への取り組み

車を造る会社として、高い品質の車をお客様にお届けすることは、私たちの使命です。そのため、設計から生産、販売、その後の整備に至るまで、全ての過程において現場・現物・現実(3つの現場)を重視する考え方を徹底しています。

まず、設計の段階では、設計者が実際に車が使われる道路や環境を想定し、お客様の気持ちになって設計を行います。例えば、家族で使う車を設計する場合、小さなお子様連れのご家族が使いやすいように、後部座席の広さや乗り降りのしやすさなどを細かく検討します。また、雪道や山道など、様々な道路状況を想定し、安全に走行できる車の設計を心掛けています。

次に、生産の現場では、作業員一人ひとりが品質を常に意識し、欠陥のある製品を作らないように細心の注意を払っています。部品の取り付けや溶接、塗装など、それぞれの工程で厳しい検査を行い、少しでも問題があれば修正します。また、作業手順を常に確認し、ミスが起こらないように工夫を重ねています。

販売の現場では、販売員がお客さまの声に耳を傾け、お客様が本当に求めている車を理解することに努めます。お客様の家族構成や生活の様子、車の使用目的などを丁寧に伺い、最適な一台を提案します。そして、販売後もお客様との繋がりを大切にし、アフターサービスにつなげます。

整備の現場では、整備士がお客様の車を直接点検し、不具合を正確に見つけ出します。最新の機器を用いて点検を行うだけでなく、整備士自身の経験と知識を活かし、原因を究明します。そして、迅速かつ適切な修理を行い、お客様に安心して車を使って頂けるよう努めています。

このように、現場・現物・現実(3つの現場)を重視する考え方は、車作りにおける全ての場面で活かされています。さらに、現場で得られた知識や情報を社内で共有し、社員全員が同じ考えを持つことで、会社全体の品質に対する意識を高めています。お客様に満足していただける車を提供するために、私たちはこれからも努力を続けていきます。

段階 現場・現物・現実 具体的な取り組み
設計 お客様の利用シーン、道路状況などを想定 後部座席の広さ、乗り降りのしやすさ、雪道や山道での安全走行性能などを考慮
生産 欠陥のある製品を作らない 部品取り付け、溶接、塗装など各工程で厳しい検査、作業手順の確認とミス防止策
販売 お客様の声を聞き、ニーズを理解 家族構成、生活の様子、車の使用目的などを丁寧に伺い、最適な一台を提案、アフターサービスへの橋渡し
整備 お客様の車の状態を直接確認 最新機器と整備士の経験・知識を活かした点検・修理、安心の提供

技術革新と現場

技術革新と現場

自動車作りは、常に新しい技術が求められる世界です。机の上で考えるだけでなく、実際に物を作って、様々な場所で試すことが大切です。最近では、電気で走る車や、自動で走る車の技術が注目を集めています。これらの新しい技術も、実際に車に組み込んで、様々な道で走らせてみないと、本当に使えるものになるかは分かりません。

例えば、自動で走る車を開発する場合を考えてみましょう。コンピューターに指示を出すプログラムを作っても、それで本当に安全に走れるかは、実際に走らせてみないと分かりません。街の中や、郊外の道、山道など、色々な場所でテストをする必要があります。街の中は人が多く、信号も多いので、複雑な状況に対応できる必要があります。郊外の道は、信号が少なく、スピードが出やすいので、高速走行時の安全性を確かめる必要があります。山道は、カーブが多く、路面の状態も変化しやすいので、様々な路面状況に対応できる必要があります。このように、色々な場所でテストを繰り返すことで、安全で信頼できる自動運転技術を開発することができるのです。

また、実際に車を使う人の立場になって考えることも大切です。使いやすさや、乗り心地なども、実際に乗ってみないと分かりません。例えば、自動で走る車の場合、急に止まったり、急にハンドルを切ったりすると、乗っている人は不安を感じてしまいます。ですから、乗っている人が安心して快適に過ごせるように、乗り心地にも気を配る必要があります。

このように、新しい技術を開発する際には、実際に作って、色々な場所で試すこと、そして使う人の立場になって考えることが大切です。現場でのテスト結果を元に、設計を改良していくことで、より実用的な技術を開発することができるのです。自動車作りは、技術と現場の協力があって初めて成り立つと言えるでしょう。

テスト項目 テスト場所 テスト内容 目的
自動運転技術 街中 人混み、信号への対応 複雑な状況への対応能力確認
郊外 高速走行 高速走行時の安全性確認
山道 カーブ、路面状況変化への対応 様々な路面状況への対応能力確認
乗り心地 様々な場所 急停止、急ハンドル時の挙動 乗員の安心感、快適性確認

これからの車づくり

これからの車づくり

これからの車づくりは、これまで以上に多くの要素を考慮する必要があります。環境問題への配慮は当然のこととして、安全性の向上や快適な乗り心地の追求、そして人々の生活を豊かに彩る付加価値の創造など、様々な課題を解決していく必要があるのです。

これらの複雑な課題を解決するためには、現場・現実・現物、すなわち3現主義の考え方がこれまで以上に重要になります。設計図やデータだけでは分からないことが、製造現場にはたくさんあります。実際に現場で何が起きているのかを自分の目で見て、手で触れ、五感をフル活用して現状を把握することで、初めて課題の核心が見えてくるのです。そして、現場で得られた知見を基に、迅速かつ適切な対応を行うことで、不具合の発生を未然に防ぎ、高品質な車を提供し続けることができるのです。

また、技術革新のスピードが加速する現代においては、常に新しい技術を取り入れ、進化し続けることが不可欠です。電気自動車や自動運転技術など、自動車業界を取り巻く環境は日々変化しています。これらの変化に対応し、他社に先駆けて革新的な技術を開発していくためには、常にアンテナを高く掲げ、最新の情報や技術を貪欲に吸収していく必要があります。そして、現場で培われた経験と最新技術を融合させることで、真に革新的な車づくりが可能となるのです。

さらに、お客様の声に真摯に耳を傾け、ニーズを的確に捉えることも大切です。どのような車を必要としているのか、どのような機能が求められているのか、お客様の目線に立って考え、真に求められる車を開発していく必要があります。お客様の期待を超える驚きと感動を提供することで、信頼関係を構築し、より良い車づくりにつなげていくことができるのです。

このように、3現主義は、これからの車づくりにおいても、なくてはならない重要な指針となるでしょう。現場の声を大切にし、常に進化を続け、お客様のニーズに応え続けることで、未来のモビリティ社会を創造していくことができるのです。

これからの車づくり