ダッシュボードの歴史と機能
車のことを知りたい
先生、ダッシュボードって、計器盤のことですよね?
車の研究家
うん、そうだね。計器盤はダッシュボードの一部で、速度計とか燃料計があるところだね。でも、ダッシュボードはそれだけじゃないんだよ。
車のことを知りたい
え?それだけじゃないんですか?
車の研究家
そうなんだ。もともとは馬車の泥よけ、船の波よけだったんだよ。それが自動車では、運転席とエンジンルームを隔てる壁の役割も果たすようになって、計器盤もそこに設置されるようになったんだ。だから、ダッシュボードは計器盤だけじゃなくて、その周りの部分も含む広い意味があるんだよ。収納スペースになっているグローブボックスもダッシュボードの一部だね。
ダッシュボードとは。
車に関する言葉「ダッシュボード」について説明します。アメリカでは計器盤の別名として使われています。もともとは馬車などの泥除け、船では波除けのことを指していました。自動車ではこの部分が発達して計器盤になりました。つまり、今の計器盤の元となったものです。車を作る人によっては、この部分をエンジンルームと運転席を隔てる壁(防火壁や隔壁ともいいます)と考えて、計器盤とは別物として扱う場合もあります。ダッシュボードコンパートメントは小物入れとも呼ばれます。
ダッシュボードの由来
自動車の顔とも言える、運転席前方に広がる計器盤。これは一般的に「計器板」と呼ばれますが、「ダッシュボード」という呼び名も広く知られています。では、この「ダッシュボード」という言葉はどこから来たのでしょうか?その由来は、自動車が生まれるずっと前、馬車が主要な乗り物だった時代に遡ります。
当時は、舗装されていない道路を馬車が走ると、馬のひづめが泥や小石を跳ね上げ、乗っている人たちに当たるという問題がありました。そこで、馬車の先頭、馬のすぐ後ろの位置に、泥や小石を受け止める板が取り付けられました。この「泥除け」の役割を果たす板こそが、ダッシュボードの始まりです。「ダッシュ」は「勢いよく走る、突進する」という意味、「ボード」は「板」を意味します。つまり、ダッシュボードは、馬車が泥の中を勢いよく駆け抜ける際に、泥を防ぐ板だったのです。
その後、時代が進み自動車が登場すると、馬車のような泥除けの必要性は薄れました。しかし、エンジンルームと運転席を隔てる壁が必要だったため、この壁の部分に計器類などを配置するようになり、ダッシュボードの役割も変化していきました。かつて泥除けだった板は、速度計や燃料計、警告灯などが並ぶ、運転に欠かせない情報の中枢へと進化を遂げたのです。
現代の自動車においてもダッシュボードは重要な役割を担っています。運転に必要な情報を表示するだけでなく、エアバッグやカーナビゲーションシステム、オーディオ機器などが組み込まれ、安全性や快適性を高める重要な役割を果たしています。馬車の時代から現代まで、形や役割を変えながらも、ダッシュボードは乗り物と共に進化を続けていると言えるでしょう。
時代 | 役割 | 名称の由来 |
---|---|---|
馬車時代 | 泥除け | 泥の中を馬車がダッシュ(勢いよく走る)する際に、泥を防ぐボード(板) |
自動車時代 | エンジンルームと運転席の隔て、計器類の配置場所 | 馬車のダッシュボードの役割を引き継ぎ、進化 |
現代 | 運転に必要な情報の表示、エアバッグ、カーナビ、オーディオ機器の設置場所 | 安全性や快適性を高める役割も担う |
ダッシュボードの役割
車の操縦席正面に設置されたダッシュボードは、かつては単に車体前部の泥や小石が車内へ侵入するのを防ぐ板に過ぎませんでした。しかし、時代の流れとともに自動車の構造が複雑化し、運転に必要な情報が増えるにつれて、ダッシュボードの役割も大きく変わってきました。今では、安全な運転に欠かせない情報を提供する重要な役割を担っています。
ダッシュボードの中心には、運転に関する基本的な情報を表示する計器類が配置されています。例えば、車の速度を示す速度計、エンジンの回転数を示す回転計、残りの燃料の量を示す燃料計、エンジンの温度を示す水温計などがあります。これらの計器類は、ドライバーが安全に運転するために必要な情報をリアルタイムで提供し、異常発生をいち早く察知することを可能にします。
快適な運転環境を提供する装置もダッシュボードに組み込まれています。温度調節や風量調節を行うための空調操作パネル、音楽を楽しむための音響装置、目的地まで案内してくれる経路案内装置などもダッシュボードに配置され、ドライバーの運転を支援しています。これらの装置は、直感的に操作できるよう工夫されており、ドライバーの負担を軽減し、快適な運転環境を実現しています。
近年の技術革新により、運転を支援する高度な仕組の表示画面もダッシュボードに搭載されるようになりました。例えば、車線からの逸脱を警告する装置や、前方の車との距離を保つ装置、周囲の状況を把握するためのカメラの映像などを表示する画面があります。これらの装置は、ドライバーの安全運転を支援するだけでなく、事故の発生を未然に防ぐ役割も担っています。このように、ダッシュボードは、様々な情報を集約し、ドライバーに提供する司令塔としての役割を担い、ますますその重要性を増しています。
ダッシュボードの役割 | 主な機能・装置 | 目的・効果 |
---|---|---|
安全な運転に 必要な情報を提供 |
速度計、回転計、燃料計、水温計など | リアルタイムで運転情報を提供し、異常発生の早期察知を可能にする |
快適な運転環境を提供 | 空調操作パネル、音響装置、経路案内装置など | ドライバーの負担軽減と快適な運転環境の実現 |
運転支援 | 車線逸脱警告装置、前方車間距離維持装置、カメラ映像表示画面など | 安全運転支援と事故の未然防止 |
ダッシュボードの材質
車の内装の中でも、運転席正面に位置する計器盤、すなわちダッシュボードは、常に視界に入る重要な部分です。その材質は、時代と共に大きく変化してきました。初期の自動車では、金属や木が用いられていました。金属は強度があり、木は加工しやすいという利点がありましたが、安全性やデザイン性の面で課題がありました。
金属は衝撃吸収性が低く、衝突時に乗員に大きな危険を及ぼす可能性がありました。また、木は湿気や温度変化の影響を受けやすく、変形や劣化が起こりやすいため、耐久性に欠けていました。
これらの課題を解決するために、プラスチックや合成皮革、樹脂などの新しい素材が採用されるようになりました。これらの素材は、金属や木に比べて軽量で、加工しやすいという特性を持っています。そのため、様々な形や色のダッシュボードを製造することが可能になり、自動車のデザインの自由度が飛躍的に向上しました。
プラスチックは、着色も容易です。黒や灰色だけでなく、赤や青、緑など様々な色に着色できます。これにより、内装全体との色の組み合わせを楽しむことができるようになりました。また、合成皮革は、本革のような高級感を演出できます。ステッチを入れることで、より上質な雰囲気を作り出すことも可能です。樹脂は、様々な形状に成形できるため、複雑なデザインのダッシュボードも製造できます。
さらに、これらの素材は、衝撃吸収性や耐候性にも優れています。衝撃吸収性が高いことで、衝突時の乗員の安全性を高めることができます。耐候性が高いことで、日光や雨風による劣化を防ぎ、ダッシュボードの寿命を延ばすことができます。
近年では、環境問題への関心の高まりから、環境に優しい素材を使ったダッシュボードの開発も進んでいます。例えば、製造過程で排出される二酸化炭素が少ない素材や、使用後に再利用できる素材などが注目を集めています。植物由来の素材を使ったダッシュボードも開発されており、環境負荷の低減に貢献しています。このように、ダッシュボードの材質は、安全性、デザイン性、環境性能の向上を目指して、日々進化を続けています。
時代 | 素材 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|---|
初期 | 金属 | 強度がある | 衝撃吸収性が低い、乗員に危険 |
初期 | 木 | 加工しやすい | 湿気や温度変化の影響を受けやすい、変形・劣化しやすい、耐久性に欠ける |
現代 | プラスチック | 軽量、加工しやすい、着色容易、様々な色、内装全体との色の組み合わせ | – |
現代 | 合成皮革 | 本革のような高級感、ステッチで上質な雰囲気 | – |
現代 | 樹脂 | 様々な形状に成形できる、複雑なデザインも製造可能 | – |
現代 | 環境に優しい素材 | CO2排出量が少ない、再利用可能、植物由来 | – |
ダッシュボードの進化
車の運転席正面に設置された計器類などを一括りにした場所、いわゆる計器盤は、時代と共に大きく様変わりしてきました。初期の車は、速度計と燃料計、せいぜい油圧計や水温計といった必要最小限の情報が表示されているだけでした。文字盤も黒地に白字といったシンプルなものが多く、運転に必要な情報を読み取るためだけの道具という印象が強かったと言えるでしょう。
その後、車の性能が向上するにつれて、計器盤に表示される情報も増えていきました。回転計や走行距離計などが追加され、ドライバーはより多くの情報を把握できるようになりました。また、警告灯の種類も増え、安全運転を支援する役割も担うようになってきました。
近年では、液晶画面を使った多機能な表示装置が採用されるようになり、計器盤の役割はさらに広がっています。カーナビゲーションシステムの地図表示や、燃費などの車両情報の表示はもちろんのこと、車の状態を様々な形でドライバーに伝えることができるようになりました。例えば、タイヤの空気圧が低下した場合には警告表示が出たり、エコ運転をしている時には緑色のランプが点灯するなど、視覚的にわかりやすい工夫が凝らされています。
また、デザイン性も重視されるようになり、計器盤は車の内装の中で重要な要素となっています。木目調のパネルや金属製の装飾が施されたもの、スポーティーな印象を与えるものなど、車種やグレードに合わせて様々なデザインが採用されています。
さらに、操作方法も進化を続けています。従来のボタンやスイッチに加えて、画面に触れて操作する方式や音声で指示を出す方式も普及し、ドライバーはより直感的に操作できるようになりました。これらの技術により、ドライバーは運転に集中することができ、安全性も向上しています。計器盤は、これからも車の進化と共に、より便利で安全な運転を支える重要な役割を果たしていくことでしょう。
時代 | 計器盤の特徴 |
---|---|
初期 | 速度計、燃料計など必要最小限の情報表示。シンプルなデザイン。 |
発展期 | 回転計、走行距離計など情報量が増加。警告灯の種類も増加し安全運転を支援。 |
近年 | 液晶画面による多機能表示。ナビ、燃費、車両状態などを視覚的に表示。デザイン性も重視。操作方法もタッチパネルや音声入力など進化。 |
ダッシュボードの名称
自動車の運転席正面に位置する、様々な計器や操作装置が集まっている部分を、一般的には「計器板」と呼びます。この計器板は、国や地域、自動車製造会社によって様々な呼び名を持つことで知られています。例えば、アメリカでは「計器盤」という言葉が用いられることが多く、速度計や回転計、燃料計といった計器類が配置されているという、その機能性を重視した名称となっています。
一方、日本では「泥除け板」という言葉が一般的です。これは、自動車の起源とも言える馬車の時代に由来します。馬車が泥道を走ると、馬のひづめによって泥や小石が巻き上げられ、乗員に当たるのを防ぐために、運転席の前に板が取り付けられていました。この板を「泥除け板」と呼んでいた名残りが、現代の自動車の計器板にも受け継がれているのです。同じ部品でも、歴史や文化背景によって名称が異なることは、大変興味深い点と言えるでしょう。
また、自動車の設計者によっては、この計器板を「隔壁」と区別する場合もあります。隔壁とは、エンジンルームと客室を仕切る壁のことで、エンジンの熱や騒音、万が一の火災から乗員を守る重要な役割を担っています。計器板は、この隔壁に取り付けられることが多いものの、厳密には別の部品です。このように、計器板の定義は必ずしも統一されているわけではありません。
さらに、計器板には、小物などを収納するための小さな箱が設けられていることがよくあります。この収納箱も、国や地域によって様々な呼び名があり、「物入れ」や「手袋入れ」などと呼ばれています。特に「手袋入れ」という名称は、かつて運転手が革手袋を着用していた時代に、その手袋を収納するために使われていたことに由来しています。このように、自動車の計器板は、様々な呼び名や歴史的背景を持つ興味深い部品と言えるでしょう。
国/地域 | 計器板の呼び名 | 由来/特徴 | 収納箱の呼び名 |
---|---|---|---|
アメリカ | 計器盤 | 速度計、回転計、燃料計といった計器類が配置されているという機能性を重視した名称 | (記載なし) |
日本 | 泥除け板 | 馬車の時代に、泥や小石から乗員を守るために運転席の前に取り付けられていた板の名残 | 物入れ、手袋入れ |
今後の展望
自動運転の技術が進歩するにつれて、車の運転席周りの様子も大きく変わっていくでしょう。人が運転しなくても車が進むようになることで、運転していた人は移動中に仕事や趣味の時間を過ごせるようになります。そのため、運転席周りは、単なる操作盤ではなく、様々な情報を提供する装置として進化していくと考えられます。
例えば、大きな画面や高性能の情報処理システム、使いやすい操作画面などを備え、まるで家の居間のようにくつろげる空間を提供する運転席周りも登場するかもしれません。映画を見たり、インターネットで買い物をしたり、オンライン会議に参加したりと、移動時間を有効に活用できるようになるでしょう。また、家族や友人とビデオ通話で会話を楽しむこともできるようになるかもしれません。
安全面や環境への配慮も、これまで以上に重要になります。そのため、繰り返し使える材料やエネルギーを節約する技術を使った運転席周りが増えていくでしょう。例えば、植物由来の材料や再生プラスチックなどを活用することで、環境への負荷を減らすことができます。また、太陽光発電を利用して電力を供給するなど、エネルギー効率を高める工夫も凝らされるでしょう。
運転席周りは、未来の移動手段においても重要な役割を果たしていくでしょう。快適性や利便性を追求するだけでなく、安全性や環境への配慮も両立させることで、より良い移動体験を提供していくことが期待されます。また、個々の利用者の好みに合わせて、画面表示や操作方法などを自由に設定できるようになるかもしれません。まるで自分の部屋のように、パーソナルな空間としてカスタマイズできる運転席周りが登場する日もそう遠くはないでしょう。
ポイント | 詳細 |
---|---|
情報提供装置への進化 | 大きな画面、高性能の情報処理システム、使いやすい操作画面などを備え、移動中に仕事や趣味の時間を過ごせるようになる。映画鑑賞、インターネットショッピング、オンライン会議、ビデオ通話なども可能になる。 |
安全面・環境への配慮 | 繰り返し使える材料やエネルギーを節約する技術の活用。植物由来の材料、再生プラスチック、太陽光発電などが想定される。 |
パーソナナル空間 | 個々の利用者の好みに合わせて画面表示や操作方法などを自由に設定できるようになる。 |