リーフスプリングの2番巻き:乗り心地と耐久性の秘密
車のことを知りたい
先生、『2番巻き』って一体どういう意味ですか?リーフスプリングの何かの一部らしいんですけど、よく分かりません。
車の研究家
そうですね、『2番巻き』はリーフスプリングの一部で、メインリーフの次にくるリーフ、つまり2番目のリーフの端っこの部分をメインリーフの穴に合わせて巻き込んだ部分のことを指します。バネ板を重ねていくリーフスプリングにおいて、バネ板同士を固定するために使われるんです。
車のことを知りたい
巻き込むっていうのは、どういうことでしょうか? なぜ巻き込む必要があるんですか?
車の研究家
リーフスプリングは複数の板バネを重ねてできていますよね。2番目の板バネの端を巻き込むことで、メインリーフの穴、つまりスプリングアイにしっかり固定できるんです。巻き込む量によって、バネの動きや強度も変わってきます。小型トラックだと4分の1巻き、中・大型トラックやバスだと4分の3巻きが多いんですよ。
2番巻きとは。
車の板ばねについて説明します。『2番巻き』とは、板ばねの中で一番主要な板の次にくる板の端の部分を、主要な板の穴に合わせて巻き込んだ部分を指します。小さなトラックでは4分の1巻き、中くらいや大きなトラック、バスなどでは4分の3巻きがよく使われています。4分の3巻きは、アメリカの軍用車の板ばねに使われていたことから、『ミリタリーラッパー』とも呼ばれています。
リーフスプリングの構造
板ばねとも呼ばれるリーフスプリングは、薄い板状のばね鋼を複数枚重ね合わせたサスペンション部品です。名前の通り、木の葉のような形状をした鋼板を束ねて作られています。この鋼板1枚1枚はリーフと呼ばれ、中央が一番長く、両端に向かって短くなっています。リーフスプリングはこのリーフたちが上下にスライドすることで、路面からの衝撃を吸収し、車体を支える役割を果たします。
リーフスプリングの中心には、マスターリーフと呼ばれる一番長いリーフがあり、通常、両端に巻き込み部と呼ばれる丸まった部分が存在します。この巻き込み部は、車軸とリーフスプリングを固定する役割と、リーフ同士のズレを防ぐ役割を担っています。マスターリーフを中心にして、徐々に短いリーフが重ねられ、全体をUボルトと呼ばれる太いボルトで締め付けることで、リーフスプリングは一体となります。
リーフスプリングは、主にトラックやバスなどの大型車両、そして一部の乗用車にも使われています。高い耐久性と大きな荷重に耐える能力が特徴で、過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。また、構造が単純であるため、整備が容易である点も大きな利点です。リーフの長さや枚数、厚さ、そして鋼板の材質を変えることで、車両の重さや用途に合わせた特性の調整が可能です。例えば、重い荷物を運ぶトラックには、多くのリーフが重ねられた頑丈なリーフスプリングが、乗用車には、乗り心地を重視した枚数の少ない、あるいは柔らかい材質のリーフスプリングが使われます。
近年では、軽量化や乗り心地のさらなる向上を目指し、空気ばねやコイルスプリングといった他のサスペンション方式を採用する車両も増えています。しかし、耐久性や整備性、そしてコストの面から、リーフスプリングは現在も多くの車両で重要な役割を担っており、今後も様々な車種で活躍が見込まれます。
項目 | 説明 |
---|---|
別名 | 板ばね |
構造 | 薄い板状のばね鋼(リーフ)を複数枚重ね合わせたもの。中央が一番長く、両端に向かって短くなる。 |
マスターリーフ | 中心にある一番長いリーフ。両端に巻き込み部を持つ。 |
巻き込み部 | マスターリーフの両端の丸まった部分。車軸とリーフスプリングの固定、リーフ同士のズレ防止。 |
Uボルト | リーフスプリング全体を締め付ける太いボルト。 |
機能 | 路面からの衝撃吸収、車体を支える。 |
特徴 | 高い耐久性、大きな荷重に耐える能力、整備が容易、特性の調整が可能(リーフの長さ、枚数、厚さ、材質)。 |
用途 | トラック、バスなどの大型車両、一部の乗用車。 |
利点 | 耐久性、整備性、コスト。 |
2番巻きの役割
板ばねにおいて、二番巻きは乗り心地と耐久性を向上させる重要な役割を担っています。二番巻きとは、主板ばね(最も長い板ばね)の次に位置する板ばねの先端部分を、主板ばねのばね目がね(車軸と繋がる部分)に合わせて巻き込んだ部分を指します。この巻き込み構造には、様々な利点があります。
まず、二番巻きによって板ばね同士の摩擦が小さくなります。板ばねは重ね合わさって構成されていますが、荷重がかかると、これらの板ばねは互いに滑りながら伸縮します。この際、板ばね同士が擦れ合うことで摩擦が生じ、乗り心地の悪化や部品の摩耗につながります。二番巻きはこの摩擦を軽減し、板ばねが滑らかに伸縮することを可能にします。その結果、路面からの振動が車体に伝わりにくくなり、滑らかな乗り心地を実現できます。
次に、二番巻きは板ばね全体の強度を高める効果があります。巻き込むことで、板ばねの断面形状が複雑になり、ねじれに対する強度が向上します。これにより、荷重がかかった際の変形が抑えられ、車両の安定性と操縦性が向上します。特に、荷物を積載した際の車体の沈み込みを抑える効果は大きく、走行安定性に大きく貢献します。
さらに、二番巻きは板ばねの寿命を延ばすことにも繋がります。板ばね同士の摩擦が減ることで、摩耗や破損が抑えられます。また、二番巻きによって板ばね全体の強度が向上するため、負荷が分散され、一部分に力が集中しにくくなります。これらの効果により、板ばねは長期間にわたって安定した性能を維持することが可能になります。
項目 | 効果 | 詳細 |
---|---|---|
乗り心地 | 向上 | 板ばね同士の摩擦軽減により、滑らかな伸縮が可能になり、路面からの振動が伝わりにくくなる。 |
耐久性 | 向上 | 摩擦軽減による摩耗・破損の抑制、強度向上による負荷分散。 |
強度 | 向上 | 断面形状が複雑になり、ねじれに対する強度が向上し、変形が抑えられる。 |
安定性/操縦性 | 向上 | 荷重がかかった際の変形が抑えられ、車両の安定性と操縦性が向上する。 |
寿命 | 延長 | 摩擦軽減による摩耗・破損の抑制、強度向上による負荷分散。 |
巻き込み方の種類
板ばねの巻き込み方について詳しく見ていきましょう。板ばねは、重ねられた薄い金属板で構成され、車両の懸架装置として用いられています。この板ばねの端の形状、つまり巻き込み方には主に二つの種類があります。4分の1巻き込みと4分の3巻き込みです。4分の1巻き込みは、板ばねの先端部分が緩やかに曲げられており、全体のおよそ4分の1が巻き込まれた形状です。この形状は比較的小さな荷物を運ぶ小型の貨物自動車に多く採用されています。なぜなら、4分の1巻き込みは、乗り心地を柔らかくし、小さな揺れを効果的に吸収するからです。しかし、大きな荷物を積むのにはあまり向いていません。一方、4分の3巻き込みは、板ばねの先端部分が大きく曲げられており、全体のおよそ4分の3が巻き込まれた形状です。この形状は中型や大型の貨物自動車、そして乗客を多く乗せる乗り合い自動車などに採用されています。4分の3巻き込みは、4分の1巻き込みに比べて、ばねの硬さが高くなっています。そのため、重い荷物や多くの乗客を乗せても、車体が大きく沈み込むことを防ぎ、安定した走行を可能にします。この4分の3巻き込みは、かつてアメリカの軍用車両の板ばねにも使われていたことから、軍用巻き込みと呼ばれることもあります。板ばねの巻き込み角度が大きくなるほど、ばね全体の硬さが増し、荷物を支える能力も高まります。ですから、車両の大きさや積載する荷物の重さによって、適切な巻き込み方を選ぶことが大切です。それぞれの車両の用途や積載量に最適な巻き込み方を採用することで、安全で快適な乗り心地を実現できるのです。
巻き込みの種類 | 形状 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|---|
1/4巻き込み | 先端部分が緩やかに曲げられており、全体のおよそ1/4が巻き込まれた形状 | 乗り心地が柔らかく、小さな揺れを効果的に吸収する。 ばねが柔らかい。 大きな荷物を積むのには向いていない。 |
小型貨物自動車 |
3/4巻き込み | 先端部分が大きく曲げられており、全体のおよそ3/4が巻き込まれた形状 | 1/4巻き込みよりばねが硬い。 重い荷物や多くの乗客を乗せても、車体が大きく沈み込むことを防ぎ、安定した走行を可能にする。 |
中型・大型貨物自動車、乗合自動車 |
ミリタリーラッパーの特徴
軍用車両に使われてきた「4分の3巻き」と呼ばれる板ばねは、高い強度と信頼性で知られています。名前の由来は、ばねを横から見た時の巻き込み具合です。4分の3巻きとは、板ばねの端が中心に向かって大きく巻き込まれた形状をしており、ちょうど4分の3周ほど巻かれているように見えることからこの名前が付けられました。
この巻き込みの大きさが、4分の3巻きの大きな特徴であり、優れた性能の源となっています。巻き込みが大きいほど、ばね全体の硬さが増し、でこぼこ道や重い荷物にも耐える強さを発揮します。
板ばねは、薄い金属の板を重ね合わせた構造をしています。4分の3巻きは、巻き込み部分が大きいので、重ねた板同士が接する面積が広くなります。このため、荷重を広い面積で受け止め、板一枚にかかる負担を分散させることができます。荷重が分散されることで、板のすり減りや破損を防ぎ、長持ちして性能を維持することができるのです。
かつては軍用車両で多く使われていた4分の3巻きですが、その優れた耐久性と信頼性から、今では大型の運送車両や路線バスなどにも幅広く採用されています。過酷な環境で使用されるこれらの車両にとって、4分の3巻きの強さは必要不可欠です。乗客や荷物を安全に運ぶという重要な役割を担う上で、4分の3巻きは重要な部品として活躍しています。
特徴 | メリット | 使用例 |
---|---|---|
高い強度と信頼性 | 悪路や重荷重への耐久性 | 軍用車両 |
4分の3巻き形状(大きな巻き込み) | ばねの硬さ向上 | 大型運送車両 |
板を重ねた構造 | 荷重分散による板の損傷防止、長寿命化 | 路線バス |
今後の展望
板ばねは、単純な構造と高い耐久性から、現在でもトラックやバス、一部の乗用車など、様々な車種で広く使われています。板ばねは重ね合わせた鋼板でできており、路面の衝撃を吸収する役割を担っています。その単純な構造は製造コストの低減に繋がり、高い耐久性は過酷な環境での使用にも耐えうる強さを提供します。
しかし、自動車業界を取り巻く環境は常に変化しており、燃費向上や乗り心地の改善といった要求が高まっています。これらの要求に応えるために、空気ばねや巻ばねといった、より高度な制御が可能なサスペンション方式への移行が進んでいます。空気ばねは空気の圧力を調整することで車高やばね定数を変更でき、巻ばねはばねの巻き数や線径を変えることで、より細かい調整が可能です。これらのサスペンションは、板ばねに比べて軽量で乗り心地も良く、走行性能の向上に貢献します。
一方で、板ばねはコストや耐久性の面で依然として優位性を保っています。特に、貨物輸送など、高い耐久性が求められる用途では、板ばねの堅牢さが大きな利点となります。そのため、全ての車両が空気ばねや巻ばねに移行するのではなく、車両の特性や用途、価格帯に応じて、最適なサスペンション方式が選択されていくと考えられます。
板ばね自体も進化を続けています。例えば、軽量で高強度の新素材の開発や、板ばねの形状や枚数の最適化といった改良が進められています。これらの改良により、板ばねでありながら軽量化を実現し、燃費向上や積載量の増加に貢献することが期待できます。また、乗り心地の改善や耐久性の向上も期待できます。板ばねは、今後も様々な改良が加えられ、自動車社会のニーズに応え続けることでしょう。
サスペンションの種類 | メリット | デメリット | 用途 |
---|---|---|---|
板ばね | 単純な構造、高い耐久性、製造コスト低減 | 乗り心地、燃費向上への対応が難しい | トラック、バス、一部の乗用車、貨物輸送 |
空気ばね | 車高やばね定数の調整が可能、乗り心地が良い、走行性能向上 | コストが高い | 乗用車など |
巻ばね | ばねの巻き数や線径による細かい調整が可能、軽量、乗り心地が良い、走行性能向上 | コストが高い | 乗用車など |