13モード排出ガス試験の概要

13モード排出ガス試験の概要

車のことを知りたい

先生、「13モード」って、車の排ガスと何か関係があるんですか?

車の研究家

そうだね。13モードは、主に重量車の排ガス量を測定するための試験方法だよ。13種類の決まった運転パターンでテストして、一酸化炭素や窒素酸化物などの排出量を調べているんだ。

車のことを知りたい

13種類の運転パターンって、どんなものがあるんですか?

車の研究家

例えば、止まっている状態や、一定の速さで走る状態、加速する状態など、街中での運転を想定した色々なパターンがあるんだ。詳しくは資料を見てみると良いよ。重要なのは、この13モードでテストすることで、どの車も同じ条件で排ガス量を比べることができるということだね。

13モードとは。

「13モード」という車の用語について説明します。これは、日本で現在使われている、重い車の排気ガス量を測る試験方法の名前です。この試験では、13種類の決まった運転パターンを使って排気ガス量を測ります。具体的には、試験する車のエンジンを専用の装置(エンジンダイナモメーター)に設置し、エンジンが温まった状態から試験を始めます。そして、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物といった排気ガスの量を測り、グラム毎キロワット時(g/kWh)という単位で計算します。この13モード試験は、ガソリン車とLPG車に対しては、1992年から車両総重量が2.5トンを超える車を対象に行われていましたが、2000年からは対象が3.5トンを超える車に変更されました。ディーゼル車に対しては、1994年から車両総重量2.5トンを超える車を対象に行われています。

試験の目的

試験の目的

13モード排出ガス試験は、大型の自動車などから出る排気ガスによる大気汚染を防ぐために行われています。この試験は、工場や研究所などの屋内で、特別な装置を使って行われます。装置の上には大きなローラーがあり、その上で試験車両を走らせます。試験中は、決められた速度変化や停止、発進といった13種類の走行パターンを再現し、その時に排出される排気ガスを採取して成分を分析します。

この試験では、主に三つの有害物質の量を測ります。一つ目は、一酸化炭素です。これは、物が燃え切らなかった時に発生する無色無臭の気体で、人体に吸い込まれると酸素を運ぶ血液の働きを阻害し、中毒を起こす危険があります。二つ目は、炭化水素です。これは、ガソリンや軽油などに含まれる物質で、大気中で光化学スモッグの原因となります。光化学スモッグは、目や喉を刺激し、健康に悪影響を与えることがあります。三つ目は、窒素酸化物です。これは、窒素と酸素が高温で反応してできる物質で、酸性雨や呼吸器疾患の原因となります。

大型の自動車は、一般的な乗用車に比べて車体が大きく、エンジンの出力も高いため、排出する排気ガスの量も多くなります。そのため、環境への影響も大きいため、大型の自動車を対象とした排気ガス規制は、環境を守る上で重要な対策となっています。13モード試験は、そうした規制の基礎となる試験方法であり、大気を汚染から守り、人々の健康と安全、そして地球環境を守る上で、なくてはならない役割を担っています。近年では、より実走行に近い状態での排出ガス量を測定する試験方法も導入されていますが、長年にわたり蓄積されたデータとの比較が容易であることなどから、13モード試験は現在も重要な役割を果たしています。

試験名称 目的 実施場所 方法 測定物質 対象
13モード排出ガス試験 大型自動車からの大気汚染防止 屋内(工場、研究所など) ローラー上の試験車両で13種類の走行パターンを再現し、排出ガスを採取・分析 一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物 大型自動車

試験の方法

試験の方法

自動車の排気ガスが環境に与える負荷を測る試験は、複数種類の運転状況を再現することで、より実態に近い形で計測することを目指しています。この試験では、エンジンの力を測る装置「エンジン動力計」を使用します。まず、試験を行う自動車のエンジンを動力計にしっかりと固定します。エンジンが十分に温まった状態になってから試験を始めます。

試験では、あらかじめ決められた13種類の運転パターンを想定し、エンジンに負荷をかけます。この13種類には、街中での発進・停止を繰り返す走り方や、高速道路での一定速度での走り方など、様々な運転状況が含まれています。それぞれの運転パターンに沿って、エンジンの回転数や力の大きさを細かく調整することで、実際に走行している状態を再現します。

エンジン動力計によって再現された様々な運転状況下で、排気ガスを採取し、分析します。排気ガスに含まれる有害物質には、物が燃えた時に出る一酸化炭素や、物が燃え残った時に出る炭化水素、空気中の窒素と酸素が結びついた窒素酸化物などがあります。これらの有害物質はそれぞれ、大気汚染や健康被害の原因となるため、その排出量を厳しく管理する必要があります。排気ガスに含まれるこれらの有害物質の量は精密に測定され、エンジンが出した力の量(キロワット時)あたりの排出ガス量(グラム)という単位で表されます。

最後に、測定結果を基準値と比較します。基準値は、環境への影響を最小限に抑えるために定められたものです。測定された排出ガス量が基準値よりも少なければ、そのエンジンは環境基準に適合していると判断されます。逆に基準値を超えている場合は、エンジンが環境基準を満たしていないと判断され、改善が必要となります。

工程 説明
準備 自動車のエンジンをエンジン動力計に固定し、十分に温めます。
試験運転 13種類の運転パターン(街中での発進・停止、高速道路での一定速度走行など)を想定し、エンジン動力計で負荷をかけ、エンジンの回転数や力の大きさを調整することで、実際の走行状態を再現します。
排ガス採取・分析 様々な運転状況下で排気ガスを採取し、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物などの有害物質の量を精密に測定します。測定結果は、エンジンが出した力の量(キロワット時)あたりの排出ガス量(グラム)で表されます。
基準値との比較 測定結果を基準値と比較し、基準値よりも少なければ環境基準に適合、基準値を超えていれば不適合と判断します。

試験の対象

試験の対象

自動車の排ガス規制は、大気汚染を防ぐために重要な役割を果たしており、対象となる自動車の種類や基準は時代と共に変化してきました。特に重量車と呼ばれる、比較的大型の自動車は、排出ガス量が多いため、規制の対象として重要な位置を占めています。

重量車の排ガス規制試験の一つである13モード排出ガス試験では、車両の大きさの指標となる車両総重量によって、試験の対象となる自動車が分類されています。車両総重量とは、乗員や荷物をすべて載せた状態での自動車の重さのことです。この車両総重量を基準に、対象となる自動車が決められています。

燃料の種類によっても、対象となる車両総重量は異なります。ガソリン自動車と液化石油ガス自動車の場合は、2000年より前は車両総重量が2.5トンを超える自動車が対象でしたが、2000年以降は3.5トンを超える自動車に変更されました。つまり、以前は比較的小型の重量車も試験の対象でしたが、2000年以降はより大型の重量車が対象となっています。

ディーゼル自動車の場合は、ガソリン自動車や液化石油ガス自動車とは異なり、1994年以降、車両総重量が2.5トンを超える自動車が対象となっています。ディーゼル自動車は、排出ガスに含まれる粒子状物質などが問題となるため、比較的小型の重量車でも試験対象に含まれていると考えられます。

このように、時代と共に、対象となる自動車は変化しています。これは、技術の進歩や環境問題への関心の高まりを反映しています。自動車の排ガス規制は、年々厳しくなっており、自動車製造会社は、これらの基準を満たすより環境に優しい自動車の開発に力を入れています。

燃料の種類 年代 車両総重量基準
ガソリン・LPG 2000年より前 2.5トン超
2000年以降 3.5トン超
ディーゼル 1994年以降 2.5トン超

排出ガス規制との関係

排出ガス規制との関係

自動車から排出されるガスは、大気を汚染し、人々の健康に悪影響を与える可能性があります。そのため、国は排出ガス規制を設けて、自動車メーカーが製造・販売する自動車からの排出ガス量を制限しています。この規制の中核を担うのが13モード排出ガス試験です。

13モード排出ガス試験とは、街中や郊外など、様々な走行状況を想定した13の運転モードを設定し、それぞれのモードにおける排出ガス量を測定する試験です。この試験で測定された排出ガス量の合計値が、国が定めた基準値以下でなければ、重量車は販売できません。つまり、13モード排出ガス試験は、重量車の販売における必須条件となっています。自動車メーカーは、この厳しい基準をクリアするために、日々、技術開発に励んでいます。

具体的には、排出ガスの少ない新型エンジンの開発や、排出ガス浄化装置の改良など、様々な取り組みが行われています。例えば、燃料をより効率的に燃焼させる技術や、排出ガス中の有害物質を浄化する触媒技術の開発などが挙げられます。これらの技術革新により、自動車の環境性能は飛躍的に向上し、排出ガスによる大気汚染は大幅に削減されています。

13モード排出ガス試験は、自動車メーカーのこうした技術革新を評価する指標としての役割も担っています。試験の結果は、各メーカーの環境性能を客観的に示すデータとなり、消費者が環境に配慮した車選びをする上でも重要な情報源となっています。自動車メーカーは、13モード排出ガス試験の結果を公表することで、自社の環境への取り組みをアピールし、企業としての社会的責任を果たすことにも繋がります。 排出ガス規制と13モード排出ガス試験は、よりクリーンな自動車社会を実現するための重要な仕組みと言えるでしょう。

排出ガス規制との関係

今後の展望

今後の展望

自動車の排ガス測定は、環境保全の観点から非常に重要です。長年、重量車の排ガス測定の基準として13モード排出ガス試験が用いられてきました。これは、一定の速度で走ることを想定した試験方法です。しかし、実際の道路状況では、停止や発進、加速、減速など、様々な運転状態があります。13モード試験のように、一定の速度で走る場面ばかりではありません。そのため、13モード試験だけでは、実際の走行状態における排ガス量を正確に捉えきれないという課題が指摘されてきました。

近年、この課題を解決するために、より実際の走行状況に近い試験方法の導入が検討されています。新しい試験方法は、実際の道路での走行データを元に、加減速や停止といった様々な運転パターンを再現します。これにより、より現実的な排ガス量を測定できると期待されています。例えば、市街地走行や高速道路走行など、異なる走行パターンを試験に組み込むことで、より多様な状況での排ガス量を把握できます。また、急加速や急ブレーキといった、燃費に大きく影響する運転操作も試験に組み込むことで、より実態に近い排出ガスの測定が可能となります。

自動車技術の進歩や環境問題への関心の高まりを受け、排ガス測定技術も常に進化しています。測定の精度向上は、地球環境を守る上で欠かせない要素です。より正確な排ガス量の測定を通じて、環境負荷の少ない自動車の開発を促進し、持続可能な社会の実現に貢献していく必要があります。

従来の排ガス測定方法 課題 新しい排ガス測定方法 メリット
13モード排出ガス試験 (一定速度) 実際の走行状態を反映できていない 実走行データを基にした試験 (加減速、停止を含む) より現実的な排ガス量の測定が可能