安全運転の要、リターダーとは?
車のことを知りたい
先生、エンジンリターダーって普通のブレーキと何が違うんですか?
車の研究家
いい質問だね。エンジンリターダーは、坂道を下る時などに使う補助的なブレーキで、エンジンの力を借りてブレーキをかける仕組みだよ。普通のブレーキとは、使う仕組みが違うと考えていいよ。
車のことを知りたい
エンジンの力を借りるって、どういうことですか?
車の研究家
例えば、自転車で坂道を下るとき、ペダルを漕ぐのをやめるとスピードが出過ぎるよね?その時に少しブレーキをかけ続けるのと同じように、エンジンの抵抗を使ってスピードを抑えるのがエンジンリターダーだよ。だから、普通のブレーキの負担を減らして、安全に運転できるんだ。
エンジンリターダーとは。
『エンジンリターダー』というのは、車についている、摩擦以外の方法で減速する仕組みのことです。坂道を下るときなどに、車をゆっくり走らせたり、一定の速さで走らせたりするために、ブレーキの補助として使い続けるものです。エンジンを使ったリターダーには二種類あります。一つ目は、燃料を止めるときのエンジンブレーキをもっと強くできるようにしたもので、三菱のトラックやバスに使われています。これはエンジンの内部の抵抗を大きくすることで減速します。二つ目は、排気ガスの圧力を使って減速するものです。これらの仕組みでブレーキをかけると、普通のエンジンブレーキの約3倍の効き目があります。電気や液体を使ったリターダーは、他の仕組みに関係なく、単独でブレーキをかけることができます。
減速を助ける仕組み
『減速を助ける仕組み』とは、主に大型の車やバス、トラックといった車両に取り付けられる『補助ブレーキ』とも呼ばれる装置のことで、長い下り坂などで、ブレーキペダルを踏まなくても速度を調整したり、一定の速度を保ったりするのに役立ちます。
この装置は、摩擦を利用して減速する一般的なブレーキとは異なる仕組みで、排気ブレーキ、エンジンブレーキ、流体式リターダといった種類があります。
排気ブレーキは、エンジンの排気の流れを制限することで、エンジンの回転数を抑えて減速する仕組みです。アクセルペダルから足を離すと作動し始め、エンジン音の変化でその働きが分かります。
エンジンブレーキは、エンジンの圧縮を利用して減速を行う仕組みで、シフトレバーを低い段に切り替えることで、強いエンジンブレーキをかけることができます。こちらも排気ブレーキと同様にアクセルペダルから足を離すと作動します。
流体式リターダは、オイルなどの液体の抵抗を利用して減速する仕組みです。羽根車を回転させて発生するオイルの抵抗で、車輪の回転を抑えます。この装置は、特に大型車やバスなどに搭載されており、長時間のブレーキ操作によるブレーキの過熱を防ぐのに役立ちます。
これらの装置は、主なブレーキの働きを補助し、負担を軽くすることで、過熱によるブレーキの効きが悪くなるのを防ぎます。その結果、安全性が高まり、ブレーキの寿命も延びます。特に、長い下り坂や山道など、ブレーキを長時間使う必要がある場面では、これらの装置が大きな効果を発揮します。
つまり、『減速を助ける仕組み』とは、安全な運転を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。
装置の種類 | 仕組み | 作動の仕方 |
---|---|---|
排気ブレーキ | エンジンの排気の流れを制限することで、エンジンの回転数を抑えて減速 | アクセルペダルから足を離すと作動 |
エンジンブレーキ | エンジンの圧縮を利用して減速 | アクセルペダルから足を離すと作動、シフトレバーを低い段に切り替えることで強いブレーキがかかる |
流体式リターダ | オイルなどの液体の抵抗を利用して減速 | 主に大型車やバスに搭載、長時間のブレーキ操作によるブレーキの過熱を防ぐ |
エンジンの力を利用した減速
「エンジンの力を利用した減速」とは、エンジンの持つ抵抗を利用して車の速度を落とす仕組みのことです。これは、アクセルから足を離した際に感じる、エンジンブレーキの働きをより強力にしたものと考えて良いでしょう。この減速方法を「エンジンリターダー」と呼び、主に二つの種類があります。
一つ目は、エンジンの内部の抵抗を強めることで減速させる方式です。これは、エンジンの吸気バルブや排気バルブの開閉時期を調整することで、エンジンの回転を抑制し、減速力を発生させます。ちょうど自転車でペダルを漕ぐのを急に止めると、重くなってペダルが回しにくくなるようなイメージです。この方式は構造が単純で、燃費にも良いという利点があります。
二つ目は、排気ガスの流れを利用して減速する方式です。これは、排気管に設けられた弁を閉じることで、排気ガスの流れをせき止め、エンジンに大きな負荷をかけます。この負荷がブレーキとなり、車を減速させます。この方式は、急な下り坂など、強い制動力が必要な場合に特に有効です。
これらの二つの方式を組み合わせることで、通常のエンジンブレーキに比べて約3倍もの制動力を得ることができます。これは、フットブレーキの使用頻度を減らし、ブレーキの寿命を延ばすことに繋がります。また、下り坂でのスピードの出し過ぎを防ぎ、より安全な運転を実現する上で重要な役割を果たします。特に大型トラックやバスなどの大型車両には、このエンジンリターダーが広く採用されており、安全な運行を支えています。
エンジンリターダーは、燃料消費を抑えながら効果的に減速できるため、環境にも優しい技術と言えるでしょう。将来、更なる技術革新により、より高性能なエンジンリターダーが登場することが期待されます。
エンジンリターダーの種類 | 仕組み | 利点 |
---|---|---|
エンジン内部抵抗利用型 | エンジンの吸気・排気バルブの開閉時期を調整し、エンジンの回転を抑制 | 構造が単純、燃費が良い |
排気ガス利用型 | 排気管の弁を閉じて排気ガスの流れをせき止め、エンジンに負荷をかける | 急な下り坂など、強い制動力が必要な場合に有効 |
通常のエンジンブレーキに比べ約3倍の制動力。フットブレーキの使用頻度を減らし、ブレーキ寿命を延ばす。下り坂でのスピードの出し過ぎを防ぎ、安全な運転を実現。大型トラックやバスなどの大型車両に広く採用。燃料消費を抑え、環境にも優しい。 |
多様な種類と仕組み
車を安全に止めるための仕組みは、ブレーキだけではありません。特に、重い荷物を積んだ大型車や、急な坂道を下る特殊車両などでは、ブレーキに加えて減速を補助する装置が重要な役割を果たします。それが『リターダー』です。
リターダーには様々な種類があり、その仕組みも多岐にわたります。代表的なものとしては、エンジンの力を利用するもの、電磁石の力を利用するもの、そしてオイルなどの液体の抵抗を利用するものがあります。
エンジンの力を利用するリターダーは、排気ブレーキとも呼ばれ、エンジンの排気経路を絞ることで、エンジンの回転抵抗を増大させ、減速力を得ます。構造が単純で費用も抑えられるという利点がありますが、エンジンの回転数に依存するため、低速域では効果が薄れるという欠点もあります。
電磁石を利用するリターダーは、電磁リターダーと呼ばれます。回転する金属円盤に電磁石を近づけると、磁場の影響で円盤の回転が妨げられます。この抵抗を利用して減速します。 エンジンの回転数に関係なく安定した制動力が得られることが大きな利点です。
液体の抵抗を利用するリターダーは、流体リターダーと呼ばれます。内部にオイルなどの液体を満たし、羽根車を回転させることで、液体の抵抗を発生させます。発生した熱は冷却装置によって外部に放出されます。電磁リターダーと同様に、エンジンの状態に左右されずに安定した制動力を発揮します。
このように、リターダーには様々な種類があり、それぞれに利点と欠点があります。車両の種類や用途、走行環境などを考慮して、最適なリターダーが選択されます。大型車両や特殊車両など、ブレーキへの負担が大きい車両にとって、リターダーは安全運行に欠かせない重要な装備と言えるでしょう。
種類 | 仕組み | 利点 | 欠点 |
---|---|---|---|
排気ブレーキ | エンジンの排気経路を絞ることで、エンジンの回転抵抗を増大 | 構造が単純で費用も抑えられる | エンジンの回転数に依存するため、低速域では効果が薄れる |
電磁リターダー | 回転する金属円盤に電磁石を近づけることで、磁場の影響で円盤の回転を妨げる | エンジンの回転数に関係なく安定した制動力が得られる | – |
流体リターダー | 内部にオイルなどの液体を満たし、羽根車を回転させることで、液体の抵抗を発生させる。発生した熱は冷却装置によって外部に放出 | エンジンの状態に左右されずに安定した制動力を発揮する | – |
安全性向上への貢献
自動車の安全性を高める上で、補助ブレーキとも呼ばれるリターダーは重要な役割を担っています。特に勾配のきつい下り坂や長距離の運転では、主要ブレーキであるフットブレーキやパーキングブレーキを多用することになりがちです。すると、ブレーキの摩擦材が高温になり、制動力が弱まる現象(フェード現象)が発生する危険性が高まります。フェード現象は、自動車の停止距離が伸びる原因となり、事故に繋がる恐れがあります。
リターダーは、エンジンブレーキとは異なる独立した補助ブレーキ装置です。代表的なものとしては、排気ブレーキや電磁リターダーなどがあります。排気ブレーキは、排気管の流路を狭めることで排気の流れを阻害し、エンジンブレーキの効果を高める仕組みです。一方、電磁リターダーは、電磁石の磁界を利用して回転軸に抵抗を生み出し、制動力を発生させます。これらのリターダーは、フットブレーキとは独立して作動するため、フットブレーキの使用頻度を減らし、フェード現象の発生を抑えることができます。これにより、主要ブレーキの性能を維持し、緊急時の制動能力を確保することができます。
急な下り坂では、速度の制御が難しく、運転操作に集中する必要があり、運転者の疲労も大きくなります。リターダーを活用することで、主要ブレーキへの負担を軽減し、安定した速度を維持することが容易になります。結果として、運転者の疲労軽減にも貢献し、安全運転に繋がります。特に大型車両や重量のある貨物を積載した車両では、その効果は顕著です。安全な運転環境を確保するために、リターダーは重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
リターダーの役割 | 種類 | 仕組み | メリット |
---|---|---|---|
補助ブレーキ (フットブレーキやパーキングブレーキの多用を防ぐ) |
排気ブレーキ | 排気管の流路を狭めて排気の流れを阻害し、エンジンブレーキの効果を高める | ・フェード現象の発生抑制 ・主要ブレーキの性能維持 ・緊急時の制動能力確保 ・運転者の疲労軽減 ・安定した速度維持 |
電磁リターダー | 電磁石の磁界を利用して回転軸に抵抗を生み出し、制動力を発生させる |
今後の発展と期待
車は、私たちの生活に欠かせない移動手段として、常に進化を続けています。特に近年は、安全性や環境性能の向上が求められており、ブレーキシステムにおいても様々な技術革新が続いています。その中で、補助ブレーキとも呼ばれるリターダーは、今後の発展に大きな期待が寄せられています。
リターダーは、エンジンブレーキとは異なる仕組みで、主に大型車やバスに搭載され、下り坂などでの速度抑制に役立っています。摩擦や電磁力を利用して、駆動軸や伝達軸の回転を抑制することで制動力を発生させます。これにより、フットブレーキへの負担を軽減し、ブレーキの過熱を防ぎ、フェード現象やベイパーロック現象の発生を抑えることができます。
今後の技術開発においては、リターダーの小型化、軽量化、高効率化が重要な課題となります。より小型軽量になれば、搭載できる車種も増え、燃費向上にも繋がります。さらに、高効率化によって、より強力な制動力を得られるようになり、安全性も向上します。
制御システムの高度化も期待されます。様々な道路状況や車両の状態に合わせて、最適な制動力を自動的に制御する技術が開発されれば、ドライバーの負担軽減だけでなく、より安全な運転が可能になります。例えば、雨天時や凍結路面など、滑りやすい路面状況に合わせて制動力を調整することで、スリップ事故の防止に繋がるでしょう。
これらの技術革新が進むことで、リターダーは、現在よりも多くの車両に搭載されるようになると考えられます。大型車だけでなく、乗用車や小型トラックにも普及することで、交通事故の減少、ひいては安全な社会の実現に大きく貢献する可能性を秘めていると言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
リターダーの役割 | 主に大型車やバスに搭載され、下り坂などでの速度抑制に役立つ補助ブレーキ |
制動方法 | 摩擦や電磁力を利用し、駆動軸や伝達軸の回転を抑制 |
メリット | フットブレーキの負担軽減、ブレーキの過熱防止、フェード現象やベイパーロック現象の抑制 |
今後の技術開発 | 小型化、軽量化、高効率化、制御システムの高度化 |
小型化・軽量化のメリット | 搭載車種の増加、燃費向上 |
高効率化のメリット | 強力な制動力、安全性向上 |
制御システム高度化のメリット | ドライバーの負担軽減、安全な運転、スリップ事故防止 |
将来展望 | 様々な車種への普及、交通事故減少、安全な社会の実現 |
適切な使い方を学ぶ
減速装置をうまく使うには、正しい使い方を知ることが大切です。減速装置は、エンジンの排気や油圧を使って車輪の回転を抑えることで、ブレーキの負担を軽くし、安全な運転を助ける装置です。
道路の状態や車の状態に合わせて、減速装置の強さを変える必要があります。例えば、下り坂を走る時や重い荷物を積んでいる時は、強い減速力が必要になります。逆に、平坦な道を走る時や軽い荷物を積んでいる時は、弱い減速力で十分です。状況に応じて適切な強さに調節することで、より効果的に減速装置を使うことができます。
特に、雨で滑りやすい道路や凍結した道路では、減速装置を使うとタイヤがロックしてしまう危険性があります。タイヤがロックすると、ハンドル操作がきかなくなり、大変危険です。このような路面状況では、減速装置を使わず、普通のブレーキを優しく踏むように心がけましょう。もし減速装置を使う場合は、最も弱い設定で使用し、タイヤの状態に注意を払いながら慎重に操作する必要があります。
減速装置はあくまで補助的なブレーキ装置です。主なブレーキとは別の装置なので、主なブレーキと合わせて使うことが重要です。減速装置だけで車を完全に停止させることはできません。安全に停止するためには、必ず主なブレーキを使う必要があります。減速装置は、主なブレーキの負担を軽くし、ブレーキの効きが悪くなるのを防ぐための補助的な役割を果たします。
正しい使い方を学ぶことで、減速装置は安全運転に大きく貢献します。車の説明書をよく読んで、正しい使い方を理解してから運転しましょう。減速装置の使い方をマスターすれば、より安全で快適な運転を楽しむことができるでしょう。
状況 | 減速装置の使い方 | 注意点 |
---|---|---|
下り坂、重い荷物 | 強い減速力 | |
平坦な道、軽い荷物 | 弱い減速力 | |
雨天時、凍結路面 | 使用しない、または最も弱い設定で慎重に使用する | タイヤがロックする危険性があるため、使用を控え、使用する場合はタイヤの状態に注意 |
停止時 | 減速装置だけでは停止できないため、必ず主なブレーキを使用 | 補助的なブレーキ装置であることを理解 |