乗り心地と耐久性:オーバースラング式サスペンション
車のことを知りたい
『オーバースラング式』って、よくトラックで使われているって聞きましたけど、どういうものなんですか?
車の研究家
いい質問ですね。『オーバースラング式』は、縦置きリーフスプリングという板バネを使うサスペンションの一種です。この板バネを車軸の上に付けるのが特徴です。
車のことを知りたい
車軸の上に付けることで、何かいいことがあるんですか?
車の研究家
はい。車軸の上に板バネを付けることで、車高が高くなります。特にトラックのように荷台を水平に保ちたい車には有効で、悪路での走破性も高くなります。だからトラックでよく使われているんですよ。
オーバースラング式とは。
車の用語で『オーバースラング式』というのがあります。これは、板ばね式のサスペンションの一種で、板ばねを車軸の上側に取り付ける方法です。この方式を使うと車高が高くなり、車体や骨組みが地面から高くなります。荷台を水平に保ちたいトラックでよく使われています。
板ばね式の配置
板ばね式は、重ね合わせた薄い金属板の弾力性を利用したサスペンション方式です。この方式の中でも、板ばねの配置場所によって種類が分かれます。その一つが車軸の上に板ばねを配置する「上ばね式」、別名「オーバースラング式」です。
上ばね式の特徴は、車軸を挟んで板ばねが上にあるため、車体の位置が車軸よりも高くなることです。この配置により、車体と路面との距離、つまり地上高を高く確保できます。乗用車に比べて車体が大きく重いトラックやバスなどは、地上高が低いと路面の起伏に車体が接触しやすくなります。しかし、上ばね式を採用することで、路面の凸凹の影響を受けにくくなります。
高い地上高は、悪路や未舗装路など、路面状況が悪い場所での走破性を高めます。深い轍や大きな石などの障害物があっても、車体が接触しにくいため、スムーズに走行できます。そのため、オフロード走行をする四輪駆動車にも、この方式が採用されることがあります。
さらに、上ばね式サスペンションは構造がシンプルです。少ない部品点数で構成できるため、製造コストを抑えられます。また、部品点数が少ないことは、故障のリスクを低減することにも繋がります。加えて、板ばね自体も頑丈で耐久性が高いため、過酷な環境で使用されるトラックやバスなどの大型車両に適しています。
一方で、上ばね式は乗り心地の面では不利です。ばね下重量が重くなるため、路面の振動が車体に伝わりやすく、乗り心地が硬くなりがちです。そのため、乗用車にはあまり採用されません。しかし、悪路走破性や耐久性、そして構造のシンプルさといった利点から、特定の用途の車には最適なサスペンション方式と言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
種類 | 上ばね式 (オーバースラング式) |
配置 | 車軸の上に板ばねを配置 |
特徴 | 車体の位置が車軸よりも高くなるため、地上高を高く確保できる |
メリット |
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デメリット | ばね下重量が重く、乗り心地が硬くなりがち |
適応車種 | トラック、バス、オフロード車など |
荷台の安定性
荷物を運ぶための車は、荷台が安定していることが何よりも大切です。荷物が崩れたり、車が不安定になるのを防ぐためには、荷台を水平に保つことが重要になります。そのために、車軸の上に板ばねを置く「重ね置きばね方式」がよく使われます。
重ね置きばね方式は、車軸の上に板ばねを重ねて配置する構造です。この方式を使うと、車高を高くすることができます。荷台の位置が高くなるため、たくさんの荷物を積んだ時に車体が沈み込んでも、荷台が地面に接触する危険性を減らすことができます。つまり、荷台を水平な状態に保ちやすくなります。
また、板ばねには、路面のでこぼこからくる衝撃を吸収する働きもあります。でこぼこ道を走っても、板ばねが衝撃をやわらげるので、荷物が揺れたり、衝撃を受けて壊れたりするのを防ぎます。特に、重い荷物を運ぶ車にとって、この仕組みは大きな利点です。
重ね置きばね方式は、単に荷物を支えるだけでなく、路面からの衝撃を吸収する役割も担っているため、荷物の安全を守る上で重要な役割を果たしています。荷物の安定性は、運送の安全に直結するため、重ね置きばね方式は荷物を運ぶ車にとってなくてはならないものと言えるでしょう。
重ね置きばね方式のメリット | 詳細 |
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荷台を水平に保ちやすい | 車軸の上に板ばねを重ねて配置することで車高が高くなるため、荷物を積んだ際の車体の沈み込みを軽減し、荷台が地面に接触する危険性を減らす。 |
路面からの衝撃を吸収 | 板ばねが路面のでこぼこからの衝撃を吸収し、荷物が揺れたり、衝撃で壊れたりするのを防ぐ。 |
乗り心地への影響
車は、単なる移動手段ではなく、快適な空間でもあってほしいものです。その快適さを大きく左右する要素の一つが乗り心地です。乗り心地を決める部品の一つに、車軸を支えるサスペンションがあります。その中でも、オーバースラング式サスペンションは、乗り心地の面で独特な特徴を持っています。板ばねと呼ばれる金属板が車軸の上に配置されているのがこの方式の特徴です。
この配置により、路面からの衝撃は、板ばねを介して車体に伝わります。しかし、板ばねは衝撃を吸収する性能がそれほど高くありません。そのため、路面の凸凹を直接感じやすく、乗り心地は硬めになります。特に、舗装されていない道路や、穴ぼこの多い道を走ると、上下の揺れが大きくなり、快適とは言えません。
さらに、オーバースラング式サスペンションは、車軸の位置が高くなるため、車全体の重心も高くなります。重心が高いと、カーブを曲がるときに車体が傾きやすく、横揺れも大きくなります。まるで船に乗っているかのような揺れを感じ、車酔いしやすい人もいるかもしれません。これらのことから、乗用車のように、快適さを重視する車には、あまり使われていません。
一方で、トラックやバスなどの実用車では、この方式がよく使われています。これらの車は、重い荷物を積んだり、悪路を走ったりすることが求められます。オーバースラング式サスペンションは、単純な構造で壊れにくく、重い荷物を支えるのに適しています。また、車軸が路面から離れているため、障害物を乗り越えやすいという利点もあります。多少乗り心地が硬くても、耐久性や悪路走破性が重視されるため、実用車にとっては許容範囲と言えるでしょう。
技術の進歩は目覚ましく、オーバースラング式サスペンションの乗り心地を改善する取り組みも進んでいます。板ばねの素材や組み合わせ方、構造を見直すことで、衝撃吸収性を高め、揺れを抑える工夫が凝らされています。将来は、もっと快適な乗り心地のオーバースラング式サスペンションが登場するかもしれません。
項目 | オーバースラング式サスペンション |
---|---|
構造 | 板ばねと呼ばれる金属板が車軸の上に配置 |
乗り心地 | 硬め。路面の凸凹を直接感じやすい。カーブでの横揺れが大きい。 |
メリット |
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デメリット |
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用途 | トラックやバスなどの実用車 |
将来展望 | 板ばねの素材や構造を見直すことで、衝撃吸収性を高め、乗り心地を改善する取り組みが進んでいる。 |
他の方式との比較
自動車の緩衝装置には、大きく分けて車軸式と独立懸架式、そして今回の主題である橋渡し式が存在します。橋渡し式以外にも様々な種類があり、それぞれに利点と欠点があります。例えば、板ばねを用いて車軸を下から支える下支え式は、車高を低く抑え、重心を下げることで操縦の安定性を高めます。しかし、路面と車体との隙間が狭くなるため、でこぼこ道での走破性は低くなります。
一方、左右の車輪がそれぞれ独立して動く独立懸架式は、路面の凹凸に車輪が的確に追従するため、乗り心地が良いという利点があります。加えて、車輪の動きが車体の傾きに与える影響が少ないため、安定した走行が可能です。しかし、構造が複雑で部品点数も多いため、どうしても製造費用が高くなる傾向にあります。橋渡し式と比べると、衝撃を吸収する強度は劣りますが、乗用車などでは広く採用されています。
橋渡し式は、車軸を車体の上から吊り下げる構造です。この方式は、頑丈で壊れにくいという大きな利点があります。そのため、重い荷物を積むトラックや、悪路を走るオフロード車などに適しています。また、荷台が安定しやすく、積荷が揺れにくいという利点もあります。反面、車高が高くなるため、重心も高くなり、横転のリスクが他の方式と比べて高くなります。乗り心地もそれほど良くはありません。
このように、緩衝装置には様々な種類があり、それぞれに利点と欠点があります。どの方式を選ぶかは、車種や用途、価格など、様々な要素を考慮して決定されます。橋渡し式は、耐久性、荷台の安定性、悪路走破性を重視する場合に有効な選択肢となります。
方式 | 利点 | 欠点 | 適用車種 |
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下支え式 |
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– |
独立懸架式 |
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乗用車 |
橋渡し式 |
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整備と点検
車は安全に走行するために、定期的な整備と点検が欠かせません。特に、車体を支え、路面からの衝撃を吸収するサスペンションは、乗り心地や操縦安定性に直結する重要な部品です。その中でも、オーバースラング式サスペンションは、頑丈で長持ちする特徴を持つ一方、適切な維持管理が必要です。
オーバースラング式サスペンションの主要部品である板ばねは、路面からの衝撃を吸収する役割を担っています。板ばねにひび割れや変形が生じると、衝撃吸収能力が低下し、乗り心地が悪化するだけでなく、最悪の場合、破損に繋がる可能性があります。また、車体の傾きや振動が増大し、操縦安定性にも悪影響を及ぼします。日常の点検では、板ばねの表面を注意深く観察し、異常に気づくことが大切です。
板ばねを固定しているボルトの緩みも、点検時に見落とせないポイントです。ボルトが緩むと、ガタつきが発生し、異音の原因となるだけでなく、走行中に板ばねが外れる危険性も高まります。点検の際は、ボルトの締め付け状態を必ず確認し、緩んでいる場合は適切な工具で締め直す必要があります。
板ばね以外にも、ブッシュやシャックルといった可動部品の点検も重要です。これらの部品は、サスペンションの動きを滑らかにし、振動を吸収する役割を果たしています。経年劣化や使用による摩耗、損傷は避けられません。定期的にこれらの部品の状態を確認し、必要に応じて交換することで、サスペンションの性能を維持し、快適な乗り心地を保つことができます。
日頃からサスペンションの状態に気を配り、少しでも異常を感じたら、すぐに専門の整備工場に相談することが大切です。整備不良によるトラブルを未然に防ぎ、安全で快適なドライブを楽しむために、定期的な整備と点検を心掛けましょう。
部品 | 役割 | 点検ポイント | 不具合発生時の影響 |
---|---|---|---|
板ばね | 路面からの衝撃を吸収 | ひび割れ、変形がないか確認 | 乗り心地悪化、破損、車体の傾き/振動増大、操縦安定性悪化 |
板ばね固定ボルト | 板ばねを固定 | 緩みがないか確認 | ガタつき、異音、板ばね脱落 |
ブッシュ、シャックル | サスペンションの動きを滑らかにし、振動を吸収 | 摩耗、損傷がないか確認 | サスペンション性能低下、乗り心地悪化 |