デュアル2リーディングブレーキとは?

デュアル2リーディングブレーキとは?

車のことを知りたい

『デュアル2リーディングブレーキ』って、普通のブレーキと何が違うんですか?

車の研究家

いい質問だね。普通のドラムブレーキは、後ろ向きに進む時にブレーキがあまり効かないんだ。デュアル2リーディングブレーキはそれを改善して、前にも後ろにも同じように良く効くようにしたものだよ。

車のことを知りたい

なるほど。でも、普通のブレーキより複雑な仕組みなんですよね?

車の研究家

その通り。仕組みが複雑で、ブレーキを動かすための部品が2つ必要になるなど、少し不便なところもある。しかし、ドラムブレーキの中では一番良く効く種類なんだ。だから、日本では大きな車によく使われているんだよ。

デュアル2リーディングブレーキとは。

車輪の回転を止める装置であるドラムブレーキの一種、「両効きドラムブレーキ」について説明します。ふつうのドラムブレーキは、車を前進させているときはよく効きますが、後退させているときは効きが悪くなります。この欠点をなくすため、前進時でも後退時でも同じようにブレーキがよく効くようにしたのが両効きドラムブレーキです。車輪を止める部品であるホイールシリンダーを、前後どちら向きにも同じように動くようにすることで、この仕組みを実現しています。複雑な構造のデュオサーボ式というブレーキを除けば、ドラムブレーキの中では最も制動力が強い方式です。ただし、ブレーキを動かすための装置を2つ備える必要があるため、構造が複雑になるという難点もあります。日本では、大型車によく使われていて、特に後ろの車輪で、油圧を使った両効きドラムブレーキが使われていることが多いです。

はじめに

はじめに

車を安全に止めるための仕組みであるブレーキには、たくさんの種類があります。今回は、その中でも「二重前輪ブレーキ」と呼ばれる、ちょっと変わった仕組みについて詳しくお話しましょう。

このブレーキは、主に大きな車や重い荷物を運ぶ車などに使われています。前輪の左右それぞれに、二つのブレーキ装置が備わっていることが特徴です。一般的な車は、一つの車輪に一つのブレーキしか付いていませんが、この二重前輪ブレーキは二つのブレーキを持つことで、より強力な制動力を生み出すことができます。

仕組みを見ていきましょう。一つの車輪に二つのブレーキがあるということは、ブレーキを踏んだ時に二倍の力で車を止めることができるということです。これは、重い荷物を積んだ車や、大きな車にとって非常に重要です。なぜなら、車体が重ければ重いほど、止まるためには大きな力が必要になるからです。もし、普通のブレーキで急ブレーキをかけると、ブレーキが焼き付いてしまったり、タイヤがロックしてしまったりする危険性があります。しかし、二重前輪ブレーキであれば、二つのブレーキで力を分散させることができるため、そのような危険を減らすことができます。

さらに、このブレーキには、片方のブレーキが故障した場合でも、もう片方のブレーキで車を止めることができるという大きな利点があります。これは、安全性を高める上で非常に大切なことです。

一方で、構造が複雑なため、部品点数が増え、製造費用が高くなるという欠点もあります。また、整備にも手間がかかるため、維持管理に費用がかかることも考慮しなければなりません。

このように、二重前輪ブレーキは、強力な制動力と高い安全性を持ちながら、費用や整備の手間といったデメリットも抱えています。どのような車に適しているのか、どのような状況で使用するのが適切なのか、しっかりと理解することが大切です。

項目 内容
名称 二重前輪ブレーキ
用途 大きな車、重い荷物を運ぶ車
特徴 前輪左右に2つのブレーキ装置
メリット
  • 強力な制動力
  • 片方故障時でも制動可能
デメリット
  • 構造が複雑
  • 部品点数増加、製造費用高
  • 整備に手間、維持管理費用高

構造と仕組み

構造と仕組み

車は、安全に停止するためにブレーキ機構が不可欠です。その中でも、ドラムブレーキは古くから使われてきた方式の一つで、円筒形のドラムの内側にブレーキシューと呼ばれる摩擦材を押し付けて制動力を発生させる仕組みです。一般的なドラムブレーキは、構造が単純で製造費用を抑えられる利点がありますが、前進時と後進時で制動力が異なるといった課題も抱えています。

この課題を解決するために開発されたのが、デュアル2リーディングブレーキです。このブレーキは、前進時だけでなく後進時でも高い制動力を発揮するように設計されています。通常のドラムブレーキでは、ドラムの回転方向によって自己 energizing 作用(※1)の働きが変化し、後進時の制動力が低下します。しかし、デュアル2リーディングブレーキは、二組のブレーキシューを備え、それぞれが常にドラムに押し付けられている構造になっています。これにより、ドラムの回転方向に関わらず、安定した制動力を得ることが可能になります。

具体的には、一つのホイールシリンダーの中に二つのピストンが配置され、それぞれが別々のブレーキシューを操作します。そして、どちらの回転方向でも二つのブレーキシューが同時にドラムに押し付けられるようになっています。この双方向に作用する仕組みによって、前進時と後進時でほぼ同じ制動力が得られるのです。

このような特徴から、デュアル2リーディングブレーキは、特に大型車や重量のある車両で高い制動力が求められる場合に有効です。安定した制動力は、安全性向上に大きく貢献し、様々な場面でドライバーの安心感を支えています。

(※1)自己 energizing 作用回転によってブレーキシューがドラムに押し付けられ、制動力が強まる作用のこと。

ブレーキの種類 構造 制動力 メリット デメリット/課題 適用車両
一般的なドラムブレーキ 円筒形のドラムの内側にブレーキシューを押し付ける 前進時と後進時で異なる 構造が単純、製造費用が安い 後進時の制動力が低い
デュアル2リーディングブレーキ 二組のブレーキシューを備え、それぞれが常にドラムに押し付けられている。双方向に作用する。 前進時と後進時でほぼ同じ 安定した高い制動力 大型車、重量のある車両

利点

利点

二つの作動機構を持つブレーキである、デュアルツーリーディングブレーキは、様々な利点を持っています。その中でも特筆すべきは、前進時だけでなく後退時にも高い制動力を発揮することです。

一般的な太鼓状のブレーキでは、後ろへ進む際の制動力が弱く、特に坂道発進時などでは車が不安定になる危険がありました。これは、ブレーキの構造上、後ろへ進む際にブレーキがききにくくなるためです。しかし、デュアルツーリーディングブレーキは二つの作動機構が備わっているため、後ろへ進む際にもしっかりとブレーキをかけることができます。これにより、坂道発進時でも安定した操作が可能となり、安全な運転を実現します。

また、他の太鼓状のブレーキと比べて、制動力が全体的に強力である点も大きな利点です。重い荷物や人を乗せる大きな車では、強力なブレーキは安全を確保するために必要不可欠です。急な下り坂や、突然の飛び出しに遭遇した場合でも、しっかりと停止できるだけの制動力が求められます。デュアルツーリーディングブレーキは、これらの状況でも高い制動力を発揮し、安全な運行を支えます。

さらに、部品の摩耗が均等になるというメリットもあります。一般的な太鼓状のブレーキでは、特定の部分に摩耗が集中しやすく、部品交換の頻度が高くなることがありました。しかし、デュアルツーリーディングブレーキは、二つの作動機構がバランスよく力を加えるため、部品全体が均等に摩耗します。これにより、部品の寿命が延び、メンテナンス費用を抑えることにも繋がります。

このように、デュアルツーリーディングブレーキは、高い制動力と安定した操作性、そしてメンテナンス性の良さという点で、大型車や重量のある車にとって理想的なブレーキシステムと言えるでしょう。特に、荷物を運ぶ車や人を運ぶ車など、安全性が重視される車には、このブレーキの採用が強く推奨されます。

特徴 メリット
前後進の高い制動力 後退時、特に坂道発進時の安全性が向上
強力な制動力 重い荷物や人を乗せる大型車に不可欠な安全性を確保
均等な部品摩耗 部品寿命の延長、メンテナンス費用の削減

欠点

欠点

二系統式のブレーキは、確かな制動力を持ちますが、いくつか弱点も抱えています。まず構造が複雑な点が挙げられます。部品点数が増え、組み立て工程も複雑になるため、どうしても製造費用がかさんでしまいます。この複雑さは整備の時にも影響します。専門的な知識と技術を持った整備士でなければ、適切な整備を行うことが難しいのです。部品交換にも高度な技術が求められる場合があり、整備費用も高額になる可能性があります。

次に、部品の配置も課題です。二系統式ブレーキは、ブレーキを動かす液体の入り口が二箇所あります。そのため、通常の太鼓式ブレーキに比べて、液体を運ぶ管の取り回しが複雑になります。管が多くなると、それだけ液体が漏れる危険性も高まります。また、限られた車体スペースに複雑な管を配置しなければならないため、設計者にとっては頭を悩ませる問題となるでしょう。

さらに、二系統式ブレーキは、部品の劣化にも注意が必要です。複雑な構造であるがゆえに、多くの部品が摩耗や劣化の影響を受けやすくなっています。定期的な点検と部品交換は欠かせませんが、前述の通り整備には費用がかかります。また、劣化を見過ごすと、ブレーキの効きが悪くなったり、最悪の場合ブレーキが効かなくなる危険性もあります。日頃からブレーキの状態に気を配り、少しでも異常を感じたらすぐに点検を受けることが大切です。このように二系統式ブレーキは優れた制動力という長所を持つ反面、費用や整備の面でいくつかの課題も抱えていると言えます。

メリット デメリット
確かな制動力 構造が複雑
・部品点数増加、組み立て工程複雑化
・製造費用増加
・専門知識と技術必要
・整備費用高額
部品の配置
・ブレーキ液入り口二箇所
・配管複雑化
・液体漏れリスク増加
・車体スペース制約
部品の劣化
・部品摩耗/劣化
・定期点検/部品交換必須
・整備費用高額
・ブレーキ効き低下/故障リスク

採用事例

採用事例

国内の大型車や路線バス、観光バスといった重量のある車両には、安定した制動力を確保するために、デュアル2リーディングブレーキが広く採用されています。これは、ブレーキドラムの中に2組のリーディングシューを備えた構造で、自己倍力作用によって強力な制動力を生み出すことができます。

特に、これらの大型車は空気圧でブレーキを操作するエアオーバーハイドロリックブレーキシステムを採用している場合が多く、後輪に油圧式のデュアル2リーディングブレーキが組み合わされることが一般的です。前輪には、ディスクブレーキが用いられることが多いですが、後輪には、ドラムブレーキの中にデュアル2リーディングブレーキ機構を組み込むことで、より強力な制動力を得ています。

大型車やバスは、乗客や荷物を多く搭載するため、車両総重量が非常に大きくなります。そのため、高速走行時や下り坂など、様々な状況で安全に停止するためには、高い制動性能が不可欠です。デュアル2リーディングブレーキは、自己倍力作用により、少ないペダル操作力で大きな制動力を発揮できるため、これらの車両に最適なブレーキシステムと言えるでしょう。

また、建設機械や特殊車両など、悪路や過酷な環境で使用される車両にも、デュアル2リーディングブレーキが採用されることがあります。これらの車両は、作業中に大きな負荷がかかる場合があり、安定した制動力が求められます。急な斜面や不安定な足場でも、確実な制動力を発揮できるデュアル2リーディングブレーキは、作業の安全性を高める上で重要な役割を担っています。このように、デュアル2リーディングブレーキは、様々な車両において、安全な運行を支える技術として活躍しています。

車両の種類 ブレーキの種類 採用理由
国内の大型車、路線バス、観光バス 後輪:デュアル2リーディングブレーキ(油圧式)
前輪:ディスクブレーキ
重量のある車両の安定した制動力確保のため。エアオーバーハイドロリックブレーキシステムとの組み合わせが一般的。
建設機械、特殊車両 デュアル2リーディングブレーキ 悪路や過酷な環境での使用、大きな負荷がかかる場合の安定した制動力確保のため。

まとめ

まとめ

二つの働きを持つ制動装置、それが今回ご紹介する両頭二系統式制動装置です。これは、前へ進むときも後ろへ下がるときも、しっかりと車輪を止める力を持つ、特別な太鼓型制動装置です。

この制動装置は、大きな車や重い荷物を積んだ車に最適です。なぜなら、重い車を確実に止めるためには、強力な制動力が必要だからです。この両頭二系統式制動装置は、その要求に応えるだけの性能を持っています。これにより、安全な運転に大きく役立っていると言えるでしょう。

しかし、良い点ばかりではありません。複雑な構造であるがゆえに、どうしても費用が高くなってしまいます。また、整備も複雑で、専門的な知識と技術が必要です。さらに、太鼓型制動装置であるがゆえに、放熱性や制御性といった面では、円盤型制動装置に劣る部分もあります。

制動装置を選ぶ際には、費用や整備の手間、そして車の大きさや用途をしっかりと考えて、最適なものを選ぶことが大切です。例えば、常に重い荷物を運ぶ大型車であれば、多少費用がかさんでも、この両頭二系統式制動装置を選ぶ価値は十分にあります。逆に、それほど重い荷物を積まない車であれば、もっと費用を抑えられる他の制動装置を検討するのも良いでしょう。

車の技術は日々進歩しています。制動装置も例外ではなく、より安全で高性能なものが次々と開発されています。ですから、常に新しい技術に目を向け、より良いものを取り入れていく姿勢が大切です。今後の技術革新にも期待し、安全な車社会の実現に貢献していく必要があるでしょう。

項目 内容
種類 両頭二系統式制動装置(太鼓型)
メリット 強力な制動力
重い車や荷物を積んだ車に最適
デメリット 高価
整備が複雑
放熱性・制御性が円盤型に劣る
その他 車の大きさ、用途、費用、整備の手間などを考慮して選択
常に新しい技術に目を向けることが大切