燃費向上!滑り制御の謎
車は、動力を効率よく路面に伝え、快適に走るために、様々な工夫が凝らされています。その一つに、エンジンの力を滑らかに車輪に伝える装置である、トルクコンバーターがあります。この装置は、液体を使って動力を伝えるため、どうしても動力の一部が損失として逃げてしまいます。この損失を減らすための技術が、滑り制御、つまりスリッピングロックアップです。
トルクコンバーターの中には、ロックアップクラッチと呼ばれる部品があり、これを使ってエンジンの動力を直接変速機に伝えることができます。従来の車は、ある程度の速度に達すると、このクラッチを完全に繋げて、動力の伝達効率を高めていました。しかし、完全に繋げた状態では、エンジンの回転のムラが車に直接伝わってしまうため、滑らかな走行が難しくなります。そこで、滑り制御が登場します。
滑り制御とは、ロックアップクラッチを完全に繋げるのではなく、わずかに滑りを残しながら繋げることで、動力の伝達効率を高めつつ、滑らかな走りも両立させる技術です。この制御により、これまでロックアップクラッチを繋げることができなかった、低い速度域でも動力の損失を減らすことができ、燃費の向上に繋がります。
さらに、滑り制御は、路面状況に合わせて細かく調整されます。例えば、雪道など、滑りやすい路面では、クラッチの繋ぎ方を調整することで、タイヤの空転を防ぎ、安定した走行を支援します。
このように、滑り制御は、燃費向上だけでなく、走行性能の向上にも貢献する、重要な技術と言えるでしょう。