アイポイント

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車の開発

クルマの快適性を測る:3次元マネキンの役割

車を設計する上で、人が心地よく過ごせるかはとても大切です。運転する人、隣に乗る人、後ろに乗る人、誰もが気持ちよく過ごせるように、様々な工夫がされています。広く感じる空間、座り心地の良い座席、ちょうど良い温度など、居心地を良くする技術は常に進化しています。しかし、心地よさを数字で表して、設計に活かすには、基準となるものが必要です。そこで活躍するのが、3次元の人形です。 この人形は、人の体の形や大きさを精密に再現したものです。様々な体型のものを用意し、車の中に座らせてみます。すると、どの体型の人が、どの座席で、どのように座ると、窮屈に感じるかなどが分かります。例えば、天井の高さが十分か、足元は広々としているか、視界は良好かなどを確認できます。また、座席の背もたれの角度や座面の硬さなども、この人形を使って検証します。最適な角度や硬さを細かく調整することで、長時間座っていても疲れにくい、快適な座席を開発することができるのです。 さらに、温度や湿度、風の流れなども、心地よさには大きく影響します。エアコンの風量や吹き出し口の位置を調整することで、車内全体をムラなく快適な温度に保つことができます。窓からの日差しや外の騒音なども考慮し、断熱材や遮音材を適切に配置することで、静かで落ち着いた空間を作り出す工夫もされています。 このように、3次元の人形を活用することで、様々な体型の人の心地よさを客観的に評価し、設計に反映することができます。快適な車内空間は、運転の疲れを軽減し、安全運転にも繋がります。自動車メーカーは、乗る人みんなが快適に過ごせる車を作るために、日々研究開発に取り組んでいるのです。
車の開発

クルマの見た目|アイポイントの重要性

車を造る上で、運転する人の目の位置、つまり目線の高さはとても大切です。これは設計上の目安となる仮想の点で、専門用語では「アイポイント」と呼ばれます。人は目から得た情報をもとに運転するので、目線の高さは運転のしやすさ、心地よさ、そして安全に大きく関わってきます。 目線の高さの設定は、車の見た目だけでなく、車内の飾り付けや、運転席周辺の部品の配置など、多くの設計に影響を与えます。 例えば、目線の高さを高く設定すると、遠くまで見渡せるようになり、運転する人は周りの状況を把握しやすくなります。これは、安全な運転に欠かせない要素です。一方、目線の高さが低すぎると、視界が狭くなり、危険を察知するのが遅れる可能性があります。また、ボンネットが見えにくくなるため、車幅感覚が掴みにくくなり、運転しにくくなります。 快適さという面でも、目線の高さは重要です。適切な高さに設定することで、運転する人は無理のない姿勢で運転できます。長時間の運転でも疲れにくく、快適なドライブを楽しめます。逆に、目線の高さが合っていないと、首や肩に負担がかかり、疲れやすくなってしまいます。 さらに、車内の広々とした感じも、目線の高さに影響されます。目線の高さを適切に設定することで、車内が実際よりも広く感じられ、開放的な雰囲気を作り出すことができます。 このように、目線の高さは単なる目の位置ではなく、運転する人の視界、操作のしやすさ、心地よさを左右する、車作りにおいて大変重要な要素なのです。そのため、自動車を作る会社は目線の高さを細かく計算し、人の体の仕組みに基づいた設計を行うよう、常に工夫を重ねています。