シンプソン式

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駆動系

複合遊星歯車列:多段式自動変速機の核心

車は、滑らかに速度を変える仕組が欠かせません。その仕組の一つに、複数の歯車が組み合わさった、複合遊星歯車列というものがあります。これは、太陽歯車、遊星歯車、遊星キャリア、リング歯車といった、様々な役割を持つ歯車を組み合わせた遊星歯車列を、さらに複数組み合わせたものです。遊星歯車列一つだけでも、動力の伝わり方を変えることで、回転の速さや力の大きさを変えることができます。しかし、一つの遊星歯車列だけでは、変えられる範囲が限られています。そこで、複数の遊星歯車列を組み合わせることで、より広い範囲で変化させることができるようになります。これが複合遊星歯車列の仕組みです。複合遊星歯車列は、まるで職人が様々な部品を組み合わせて、精巧な機械を作るように、歯車を組み合わせることで、滑らかで自由自在な変速操作を実現します。例えば、複数の遊星歯車列を直列に繋げば、それぞれの変速比を掛け合わせた大きな変速比が得られます。また、並列に繋げば、それぞれの遊星歯車列に動力を分配することで、滑らかな変速と高い効率を両立させることができます。自動で変速する仕組みを持つ車では、この複合遊星歯車列が重要な役割を担っています。ドライバーが運転操作に集中できるよう、自動で最適な歯車比に切り替えることで、滑らかな加速と燃費の向上に貢献しています。また、近年の車は、燃費向上や環境への配慮から、より複雑な変速制御が求められています。複合遊星歯車列は、歯車の組み合わせ方を変えることで、変速の特性を細かく調整できるため、このような要求にも柔軟に対応できます。このように、複合遊星歯車列は、車の進化を支える、重要な技術の一つと言えるでしょう。
駆動系

4速自動変速機の進化

車の流れを自動で変える装置、つまり自動変速機というものが、最初に登場した時は、三つの段階で速度を変える仕組みが主流でした。しかし、技術が進むにつれて、より少ない燃料で長い距離を走れるように、そして、車の持つ力をより引き出せるように、四つの段階で速度を変える仕組みを持つ自動変速機が作られることになりました。この四段階で速度を変える自動変速機は、それまでの三段階のものと比べて、速い速度で走る時のエンジンの回転数を抑えることができました。そのため、燃料の消費を抑え、長い距離を走れるようになりました。また、速度を変える時のショックも小さく、滑らかな走りを実現したことから、運転する人の負担も減らすことができました。この四段階の仕組みは、高速道路での走行をより快適にしました。三段階の変速機では、高速で走るとエンジンの回転数が上がり、騒音が大きくなる傾向がありました。しかし、四段階になると、高速でもエンジンの回転数が抑えられ、静かで快適な運転が可能となりました。さらに、加速性能も向上しました。三段階では、ある程度の速度に達すると加速が鈍くなることがありましたが、四段階では、よりスムーズで力強い加速を体感できるようになりました。このように、四段階で速度を変える自動変速機は、燃費の向上、静粛性の向上、加速性能の向上といった多くの利点をもたらし、まさに車の技術における大きな進歩と言えるでしょう。この技術の登場は、その後の自動変速機の進化に大きく貢献し、現在では五段階、六段階、さらには十段階以上の多段化へと発展を遂げています。