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車の生産

トルク勾配法でねじ締め付けを極める

回転力を加えることで部品を固定する際に、締め付け具合を精密に管理する方法のひとつに、回転力の変化の割合を見る方法があります。この方法は、回転力の変化の割合、つまり勾配に着目していることから、回転力勾配法と呼ばれています。この方法を詳しく見ていきましょう。部品を固定するために回転力を加えていくと、最初は回転力と締め付け具合は比例して増加していきます。これは、部品がまだ弾性範囲内にあるためで、加えた力を抜けば元の状態に戻る範囲です。しかし、回転力を加え続けると、部品は弾性範囲を超えて塑性変形を始めます。塑性変形とは、力を抜いても元の状態に戻らない永久変形のことです。この塑性変形が始まる時点を正確に捉えることが、回転力勾配法の核心です。従来の方法では、あらかじめ設定した回転力の値に達したら締め付けを完了としていました。しかし、この方法には問題点がありました。部品同士の摩擦の大きさや、部品が固定される部分の状態によって、同じ回転力の値であっても、実際の締め付け具合が異なる場合があったのです。つまり、回転力の値だけでは正確な締め付け具合を判断できなかったのです。回転力勾配法では、回転力の値だけでなく、回転力の増加する割合も見ているため、より正確で安定した締め付けを実現できます。特に、自動車や航空機などの高い安全性が求められる乗り物に使われる重要な部品を組み立てる際には、部品一つ一つの締め付け具合の精度が安全性を左右すると言っても過言ではありません。このような重要な部品の組み立てには、回転力勾配法は欠かせない技術となっています。より高い精度での締め付け管理は、製品の安全性向上だけでなく、品質の向上にも大きく貢献すると言えるでしょう。
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クルマの安全性を守る締付けトルク

くるまを作る上で、部品をしっかりとくっつけることはとても大切です。そのために「締め付け回転力」というものがあります。これは、ねじやナットを回して締め付けるときにどれくらいの力をかけるかを示すものです。締め付け回転力が適切でないと、部品が外れたり壊れたりすることがあるので、注意が必要です。締め付け回転力の単位は、一般的に「ニュートンメートル」または「重量キログラムメートル」が使われます。くるまを作る工場では、それぞれの部品に合わせて、適切な締め付け回転力が決められています。この値は、安全にくるまを走らせるためにとても重要で、厳しく管理されています。締め付け回転力が小さすぎると、部品が緩んで走行中に落ちてしまうかもしれません。これは大変危険です。例えば、タイヤを固定するねじが緩んでタイヤが外れてしまったら、大きな事故につながる可能性があります。反対に、締め付け回転力が大きすぎると、部品が壊れたり、ねじ穴がつぶれてしまうことがあります。ねじ穴がつぶれてしまうと、二度とそのねじを使うことができなくなってしまいます。また、部品が壊れてしまうと、その部品を交換する必要が出てくるので、修理費用がかかってしまいます。このように、締め付け回転力は、小さすぎても大きすぎても問題です。部品の種類や材質、大きさなどによって適切な締め付け回転力は変わるので、作業をする際は、必ず指定された値を守ることが重要です。決められた締め付け回転力で部品をしっかりと固定することで、安全で快適な運転ができるようになります。