
車の後姿:バッスルバックの魅力
『バッスルバック』という言葉を聞かれたことはありますか? 現代ではほとんど耳にすることがなくなったこの言葉は、実は『ノッチバック』の昔の呼び名です。ノッチバックとは、乗用車の車体が大きく分けて三つの部分、つまり前部の発動機室、中央の客室、後部の荷物室で構成されている形状を指します。いわゆる箱型の車で、多くの人が乗用車と聞いて思い浮かべる代表的な姿と言えるでしょう。特に後部座席の後ろに独立した荷物室が備わっていることが特徴です。
では、なぜ『バッスルバック』と呼ばれるようになったのでしょうか?
『バッスル』とは、昔の女性がスカートの後ろを膨らませるために腰に付けていたものです。このバッスルを付けた後ろ姿が、ノッチバックの車の後部、つまり独立した荷物室の形に似ていることから、『バッスルバック』と呼ばれるようになりました。まるで膨らんだスカートのように見える荷物室を持つ車は、どこか懐かしさを感じさせ、古き良き時代の車の雰囲気を漂わせています。
近年では、後部ドアと一体化した荷物室の扉を持つハッチバック式の車の人気が高まり、三つの箱で構成された伝統的な乗用車は減少傾向にあります。しかし、かつては高級車や格式高い車の象徴として、多くの人々の憧れの的でした。現代の車は流れるような曲線を描くデザインが主流ですが、かつてのバッスルバックのような角張ったデザインも、また違った趣があります。
『バッスルバック』という言葉を知ることで、車の歴史やデザインの移り変わりを感じ、より深く車の世界を味わうことができるでしょう。