パッシブステア

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隠れた操舵:パッシブステア

受動的操舵とは、ドライバーが直接ハンドルを切らなくても、路面や車体の状態に合わせて車が自動的に進行方向を調整する仕組みのことです。まるで車が自ら考えて動いているかのような、滑らかで自然な走りを実現する技術と言えるでしょう。この技術を支えているのは、主に車輪の取り付け角度の変化と車体の傾きです。例えば、車がカーブを曲がるとき、遠心力で車体は外側に傾こうとします。この時、タイヤと路面との間に生じる横方向の力、そしてサスペンションの動きによって、タイヤの向きがわずかに変化します。四輪操舵車(四輪で方向を変える車)では、この仕組みを後輪にも採用することで、より高度な受動的操舵を実現しています。具体的には、カーブを曲がるとき、後輪は遠心力と路面からの反発力によって、自然とカーブの内側に向くように調整されます。これにより、ドライバーはハンドル操作を意識することなく、安定した旋回性能を享受できます。また、高速道路での車線変更時などでも、車体の傾きや路面からの力に応じて後輪の角度が自動調整されるため、スムーズで安定した走行が可能となります。このように受動的操舵は、ドライバーの負担を軽減するだけでなく、走行安定性や乗り心地の向上にも大きく貢献しています。特に、危険回避時など、ドライバーが瞬時に対応できない状況においても、受動的操舵は効果を発揮し、事故防止にも繋がると期待されています。今後の技術発展により、更なる進化が期待される、重要な技術と言えるでしょう。