フルフローティング

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駆動系

全浮動式車軸の仕組みと利点

全浮動式車軸は、大きな荷物を運ぶトラックやたくさんの人を乗せるバスといった、重量級の乗り物に使われる車軸の特別な仕組みです。車軸とは、タイヤを支える棒のような部品で、タイヤを回転させて車を走らせる重要な役割を担っています。全浮動式車軸の最大の特徴は、車軸にかかる負担を減らす工夫がされている点です。普通の車軸は、タイヤを回転させる力だけでなく、車体の重さやデコボコ道からの衝撃といった、車軸を曲げようとする力も一緒に支えています。これは、まるで重い荷物を持ちながら、同時に棒を曲げようとされているようなもので、車軸にとっては大きな負担となります。しかし、全浮動式車軸の場合は、車軸はタイヤを回転させる力だけを伝えるように設計されています。車体の重さや路面からの衝撃は、車軸とは別の部品が支えるので、車軸にかかる負担が大幅に軽くなります。この仕組みのおかげで、車軸の寿命が延び、壊れにくくなります。また、車軸にかかる力が減ることで、乗り心地も良くなります。デコボコ道を走っても、衝撃が車体に伝わりにくくなるからです。このような利点があるため、全浮動式車軸は、大きな荷物を運ぶトラックやたくさんの人を乗せるバスなど、車軸に大きな負担がかかる乗り物に多く採用されています。車軸の耐久性を高めることで、安全な運行を支えているのです。専門的には「フルフローティング車軸」と呼ばれることもあります。
エンジン

浮動軸受の利点:高速回転を支える技術

浮動軸受とは、機械の中で回転する軸を支える部品である軸受の一種で、軸と軸受の間に油の膜を作り、軸を油膜の上に浮かせて支えるという画期的な仕組みを持っています。この油膜のおかげで、軸と軸受は直接触れ合うことがなく、まるで水に浮かぶ船のように、軸は油の上で滑らかに回転します。この様子から、「浮動」軸受と呼ばれています。従来の軸受では、軸と軸受が常に接触しているため、摩擦や摩耗が避けられませんでした。摩擦によって生じる熱は機械の故障につながるだけでなく、摩耗によって発生する細かい金属片は、機械全体の寿命を縮める原因となっていました。しかし、浮動軸受の場合は、軸が油膜によって支えられているため、軸と軸受の直接的な接触がなく、摩擦や摩耗を大幅に減らすことができます。これにより、機械の寿命を延ばすだけでなく、摩擦による発熱も抑えることができるため、機械の安定稼働に大きく貢献します。浮動軸受は、特に高速回転する機械に適しています。例えば、自動車のエンジンなどで使われるターボチャージャーは、高温・高速で回転する部品ですが、浮動軸受はこの過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。また、摩擦が少ないため、静かな運転を実現できるという利点もあります。静粛性が求められる家電製品などにも、浮動軸受は広く活用されています。このように、浮動軸受は様々な機械の性能向上に欠かせない重要な技術となっています。