プラズマで溶接!その仕組みと利点
プラズマ溶接とは、非常に高い温度の熱源を使った、金属同士を接合する方法です。この熱源は「プラズマ」と呼ばれ、簡単に言うと、気体に大きな力を加えて特別な状態にしたものです。
普段私たちが生活している中にある空気も、実は目に見えないほど小さな粒が集まってできています。この小さな粒は、通常は電気的に中性ですが、大きなエネルギーが加わると電気を帯びた状態になります。これが「電離」と呼ばれる現象です。電離によって電気的にプラスになった粒とマイナスになった粒が自由に動き回る状態になったものがプラズマです。
プラズマは、太陽や雷など自然界にも存在しますが、人工的に作り出すこともできます。プラズマ溶接では、特殊な装置を使ってプラズマを作り出しています。この装置の中心には「タングステン電極」と呼ばれる、溶けにくい金属でできた棒があります。この電極と溶接したい金属の間に、高い電圧をかけると電気が飛び、プラズマが発生します。
プラズマは非常に高い温度で、金属を溶かすのに十分な熱量を持っています。さらに、プラズマ溶接では、プラズマを噴き出す特別な筒も使います。この筒は「ノズル」と呼ばれ、プラズマの流れを細く絞り込む役割を果たします。ノズルによってプラズマが集中することで、溶接部分に高い熱が集中し、より速く、より正確に金属を溶接することができます。また、熱が集中するため、溶接する周りの金属への熱の影響を少なく抑えることができます。
このように、プラズマ溶接は、高い熱と正確さが必要な場面で活躍する溶接方法です。例えば、薄い金属板を溶接する場合や、精密な部品を接合する場合などに用いられます。