風洞実験

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車の開発

クルマの空気抵抗を減らす技術

車は走る時、常に空気の壁に立ち向かっています。この見えない壁との戦いが空気抵抗と呼ばれるもので、文字通り空気が車に及ぼす抵抗のことを指します。空気抵抗は、車が進む速度が上がれば上がるほど強くなります。自転車に乗った時を想像してみてください。ゆっくり走る時は風をあまり感じませんが、スピードを出すと向かい風が強く感じられるのと同じです。 空気抵抗は大きく分けて形状抵抗と摩擦抵抗、干渉抵抗の三種類に分けられます。形状抵抗とは、車の形によって空気が押し分けられる時に生じる抵抗です。例えば、箱のような角張った車と、流線型の車では、角張った車の方が大きな空気抵抗を受けます。空気はなめらかに車の表面を沿うように流れる方が抵抗が少ないのです。摩擦抵抗とは、空気と車の表面が擦れ合うことで生じる抵抗です。車の表面がザラザラしていると、空気との摩擦が大きくなり、抵抗も増えます。干渉抵抗とは、車の様々な部品(例えば、ドアミラーやワイパーなど)が空気の流れを乱すことで生じる抵抗です。これらの部品周りの空気の流れが乱れることで、抵抗が発生します。 空気抵抗が大きくなると、車はより大きな力を使って走らなければなりません。これは、燃費の悪化に直結します。また、加速性能や最高速度も低下し、快適な運転の妨げとなります。逆に空気抵抗を減らすことができれば、燃費が向上し、環境にも優しくなります。さらに、加速性能や最高速度も向上し、より気持ちの良い走りを実現できます。 そのため、自動車メーカーは空気抵抗を少しでも減らすために、様々な工夫を凝らしています。例えば、流線型のボディデザインを採用したり、車体表面を滑らかにしたり、部品の形状を工夫することで、空気抵抗を低減しています。また、最近では、走行状況に応じて車の高さを自動的に調整する技術なども開発され、空気抵抗の低減に貢献しています。空気抵抗は車の性能に大きな影響を与える要素であり、自動車開発において非常に重要な課題なのです。
車の開発

車の速度計測:ピトー管の役割

車は、どれくらい速く走っているのかを瞬時に教えてくれる計器が付いています。この計器のおかげで、私たちは安全に運転することができます。この速さを測る仕組みは、実は空気の力を使っています。 空気には、目には見えませんが力があります。この力を利用して速さを測る道具に、ピトー管と呼ばれるものがあります。ピトー管は、先端が開いた管を、空気の流れに真正面から向けて設置します。車が走ると、この管の中に空気が入ってきます。車が速く走れば走るほど、管の中に入る空気の力も強くなります。この空気の力の変化を読み取って、速さを測るのです。 ピトー管の先端部分は、常に空気の流れが真正面から当たる位置に配置されます。もし、斜めに配置されてしまうと、正確な空気の力を測ることができません。このピトー管は、フランスの科学者、アンリ・ピトーによって考え出されました。空気の力を正確に測る、画期的な発明でした。 ピトー管で測られる空気の力は、静圧と動圧という二つの力の合計です。静圧とは、空気が静止しているときの力、動圧とは、空気が動いていることで生まれる力です。車は停止しているときは動圧はゼロですが、走り出すと動圧が発生します。車が速く走れば走るほど、この動圧は大きくなり、ピトー管で測られる空気の力も大きくなります。この力の変化を計算することで、車の速さを正確に知ることができるのです。
車の開発

車の空気抵抗と境界層

車が空気の中を進む時、車体の表面に沿って空気が流れます。空気は粘り気が少ないので、物体表面にぴったりとくっつくように流れようとします。しかし、実際に起きている現象はもう少し複雑です。 車体表面に非常に近い領域では、空気の流れはほとんど止まっているように見えます。まるで車体に貼り付いているかのようです。少し表面から離れると、空気は少しずつ流れ始め、さらに離れると、本来の速さで流れるようになります。このように、車体表面から少し離れた領域で空気の流れが遅くなっている層を「境界層」と呼びます。 境界層の外側では、空気はほぼ一定の速さで流れています。しかし、境界層の中では、車体表面に近いほど空気の流れは遅く、表面から離れるほど速くなります。この速度の変化が、なめらかな流れと乱れた流れを分ける重要な要素です。境界層内では、空気の流れは基本的に規則的で、層状になっています。これを層流と呼びます。層流では、空気同士が規則正しく並んで流れているので、摩擦によるエネルギーの損失は比較的小さく抑えられます。 しかし、車の速度が速くなったり、車体の形状が複雑になると、境界層内の流れが乱れてきます。これを乱流と呼びます。乱流では、空気の流れが不規則になり、渦を巻いたり、複雑な動きをします。この乱れた動きによって、空気同士の摩擦が大きくなり、エネルギーの損失が増加します。これが空気抵抗の増加につながり、燃費の悪化を招きます。 つまり、境界層は空気の流れと空気抵抗を理解する上で非常に重要な概念です。自動車の設計では、境界層を制御することで空気抵抗を減らし、燃費を向上させる工夫が凝らされています。