黒煙

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環境対策

酸素を含む燃料とその働き

空気中の酸素を使って燃えるものが燃料です。普段私たちが車などで使っているガソリンや軽油は、主に炭素と水素からできています。しかし、これらの燃料に酸素を組み込んだ化合物を加えると、燃え方が変わってきます。これを「酸素を含む燃料」といいます。酸素を含む燃料の代表的なものとしては、お酒にも含まれるアルコールの一種であるメタノールやエタノールが挙げられます。また、メチルターシャリーブチルエーテル(略してエムティービーイー)と呼ばれる物質も酸素を含む燃料の一つです。これらの物質は、燃料の中に混ぜて使われます。これらの物質がどのように燃え方に影響するのかというと、燃料が燃える際、空気中の酸素と結びつくのですが、酸素を含む燃料の場合は、燃料自身の中にすでに酸素があるため、空気中の酸素が不足している状態でも、よりしっかりと燃えることができます。酸素を含む燃料を使う一番のメリットは、排気ガスをきれいにできることです。燃料が不完全に燃えると、すすや一酸化炭素といった有害な物質が発生します。酸素を含む燃料は、より完全に燃焼を促すため、これらの有害物質の発生を抑える効果があります。環境への配慮から、世界中で酸素を含む燃料の研究開発が進められています。今後、より効率的で環境に優しい燃料が開発され、私たちの車にも使われるようになるかもしれません。
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未来の燃料:エマルション燃料の可能性

混ぜ合わせた燃料、いわゆる乳化燃料とは、読んで字のごとく水と燃料油を混ぜ合わせたものです。しかし、水と油はそのままではすぐに分離してしまいます。そこで、界面活性剤と呼ばれる仲立ち役の物質を加えます。この界面活性剤の働きによって、水と油はまるで牛乳のように均一に混ざり合い、乳濁液と呼ばれる状態になります。この乳濁液こそが、乳化燃料の正体です。具体的には、微細な水滴が燃料油の中に均等に分散する様子を想像してみてください。界面活性剤は、これらの水滴を包み込むことで、水滴同士がくっついたり、大きな塊になったりするのを防ぎます。これにより、水と油が分離することなく、長時間にわたって安定した状態を保つことができるのです。この乳化燃料には、様々な利点があります。まず、燃焼の際に水滴が蒸発することで、燃焼温度を下げる効果が期待できます。これは、窒素酸化物など、有害な排気ガスの発生を抑えることに繋がります。また、燃料油の燃焼効率を高める効果も期待できます。水滴が細かく分散していることで、燃料油の表面積が増え、酸素との接触面積が大きくなるからです。これにより、より完全な燃焼が促進され、燃費の向上に貢献します。さらに、水を加えることで燃料油の使用量を減らせるため、コスト削減にも繋がります。環境にも優しく、経済的にもメリットがある、まさに一石二鳥の技術と言えるでしょう。