アクティブサスペンション:快適な乗り心地と優れた運動性能

アクティブサスペンション:快適な乗り心地と優れた運動性能

車のことを知りたい

『アクティブサスペンション』って、普通のサスペンションと何が違うんですか?

車の研究家

いい質問ですね。普通のサスペンションは、ばねとショックアブソーバーだけで衝撃を吸収しますが、アクティブサスペンションはコンピューター制御で、より積極的に車体の動きを調整します。例えば、車が傾きそうになったら、それを抑えるようにサスペンションが動きます。

車のことを知りたい

へえー!具体的にどんな風に調整するんですか?

車の研究家

路面の状況や車の速度、ブレーキのかけ具合など、様々な情報をコンピューターが受け取って、サスペンションの硬さや車高を自動的に変えるんです。坂道で前のめりにならないようにしたり、カーブで車体が傾きすぎないようにしたり。まるで魔法のじゅうたんみたいですね。

アクティブサスペンションとは。

『アクティブサスペンション』という車の部品について説明します。これは、乗り心地や安定性、振動などを良くするために、コンピューターで制御する仕掛けがついたサスペンションのことです。荷物の重さやハンドル操作、車の速度、加速の具合、道の状態に合わせて、油や空気の力で車高やサスペンションの動きを調整します。タイヤと路面の間の適切な力加減を保ち、路面からの振動や衝撃をうまく吸収し、車の姿勢を安定させます。運転しやすさと乗り心地の両方を良くするために、この技術が使われています。
アクティブサスペンションの制御方法はいくつかあります。まず、運転手のハンドル操作やアクセル、ブレーキ操作に合わせて制御するやり方、次に車の傾きや加速、車高の変化に合わせて制御するやり方、そして前方の道の状態を予測して制御するやり方があります。
具体的な制御としては、空気バネなどで車高を調整したり、車の傾きや上下の揺れを抑えたり、油や電気の力でバネの硬さや衝撃の吸収力を調整したり、サスペンションの取り付け角度や部品の特性を調整したりといったものがあります。
なお、動力を必要としない、衝撃の吸収力を変えられるショックアブソーバーは、「セミアクティブサスペンション」と呼ばれることもあります。

概要

概要

車は路面を走る以上、どうしても揺れてしまいます。この揺れを抑えるのが、車体とタイヤの間にある緩衝装置、つまりサスペンションの役割です。
従来のサスペンションは、バネと油圧ダンパーの組み合わせで、ある程度の揺れを吸収する仕組みでした。しかし、快適な乗り心地を重視すると、ふわふわとした柔らかい設定になり、カーブを曲がるときに車体が大きく傾いてしまうなど、安定性に欠けるきらいがありました。逆に、安定性を重視して固い設定にすると、路面の小さな凹凸も拾ってしまい、乗り心地が悪くなってしまう、という問題がありました。
快適性と走行安定性、この相反する二つの性能を両立させるために開発されたのが、アクティブサスペンションです。
アクティブサスペンションは、コンピューター制御によってサスペンションの働きを積極的に調整します。路面の状況や車の状態をセンサーで感知し、その情報に基づいて油圧や空気圧を使って車高やサスペンションの固さを自動的に変化させます。
例えば、高速道路を走行しているときは、車高を低くして空気抵抗を減らし、安定性を高めます。一方、デコボコの多い悪路を走行しているときは、車高を高くして路面からの衝撃を和らげ、乗り心地を向上させます。また、カーブを曲がるときは、外側のサスペンションを固く、内側のサスペンションを柔らかくすることで、車体の傾きを抑え、安定したコーナリングを実現します。
このように、アクティブサスペンションは、状況に合わせてサスペンションの特性を常に最適な状態に制御することで、快適な乗り心地と優れた運動性能を両立させることを可能にしています。まさに、夢の足回りと言えるでしょう。

サスペンションの種類 仕組み メリット デメリット
従来のサスペンション バネと油圧ダンパーの組み合わせ ある程度の揺れを吸収 快適性と安定性を両立することが難しい
・快適性を重視すると、安定性が低下
・安定性を重視すると、乗り心地が悪化
アクティブサスペンション コンピューター制御によってサスペンションの働きを積極的に調整
センサーで路面状況や車の状態を感知
油圧や空気圧を使って車高やサスペンションの固さを自動的に変化
快適な乗り心地と優れた運動性能を両立
・高速道路:車高を低くして空気抵抗を減らし、安定性を向上
・悪路:車高を高くして衝撃を和らげ、乗り心地を向上
・カーブ:車体の傾きを抑え、安定したコーナリングを実現
記載なし

仕組み

仕組み

車の動きを滑らかに整える仕組みに、アクティブサスペンションというものがあります。これは、様々な装置が複雑に連携することで、まるで魔法の絨毯のように路面の凹凸を吸収し、快適な乗り心地を実現する技術です。

まず、車には様々な「目」の役割を果たす装置がついています。これらは、荷物の重さやハンドルの回し具合、車の速さ、加速の度合い、路面の状態など、刻一刻と変化する様々な情報を常に監視しています。これらの情報は、まるで人間の脳のように働くコンピューターへと送られます。

コンピューターは、受け取った情報を瞬時に分析し、状況に応じてサスペンションを調整するように指示を出します。この指示は、油圧や空圧といった力を用いる装置へと伝えられます。これらの装置は、コンピューターからの指示に従って、サスペンションの硬さや車高を自在に変化させます。

例えば、デコボコ道を通る際には、サスペンションを柔らかくすることで、まるでスポンジが水を吸い込むように振動を吸収し、乗っている人に伝わる揺れを最小限に抑えます。一方、カーブを曲がる時などには、サスペンションを硬くすることで、車の傾きを抑え、安定した走行を可能にします。

このように、アクティブサスペンションは、様々な装置が連携し、路面状況や運転状況に合わせてサスペンションを最適な状態に制御することで、高い走行安定性と快適な乗り心地を両立させているのです。まるで熟練の職人が運転しているかのような、滑らかで安定した走りを実現する、まさに現代の魔法の技術と言えるでしょう。

仕組み

制御方法

制御方法

乗り心地と操縦安定性を高めるためのアクティブサスペンション。その制御方法は大きく分けて三つの種類があります。一つ目は、運転者の操作を基に制御する予測制御です。これは、運転者がハンドルを切ったり、アクセルやブレーキを踏んだりする動作に合わせて、あらかじめサスペンションの状態を調整する制御方法です。例えば、カーブに差し掛かる際にハンドルを切ると、車体が傾くことが予想されます。予測制御では、このハンドル操作を検知すると同時に、傾きを抑えるようにサスペンションを硬く調整します。これにより、滑らかな運転を実現することができます。

二つ目は、車体の動きを基に制御する反応制御です。この制御方法は、車体の傾きや速度変化、上下方向の動きなどを様々な装置で常時監視し、その変化に合わせてサスペンションを調整します。例えば、路面の凹凸で車体が揺れた場合、反応制御は、その揺れを素早く抑えるようにサスペンションの硬さを調整します。これにより、乗員が感じる振動を最小限に抑えることができます。

三つ目は、前方の道路状況を基に制御する先読み制御です。この制御方法は、カメラやレーダーなどを用いて前方の道路状況を把握し、サスペンションをあらかじめ最適な状態に調整します。例えば、前方に段差があることを検知した場合、先読み制御は、段差を乗り越える前にサスペンションを調整することで、乗員が感じる衝撃を和らげます。この先読み制御は、他の二つの制御方法と組み合わせることで、より高い乗り心地と走行安定性を実現することができます。このように、アクティブサスペンションは様々な制御方法を組み合わせることで、状況に応じた最適な制御を行い、快適な運転を実現しているのです。

制御方法 説明
予測制御 運転者の操作(ハンドル、アクセル、ブレーキ)を基に、サスペンションの状態をあらかじめ調整する。 カーブでのハンドル操作に合わせて、車体の傾きを抑えるようにサスペンションを硬く調整。
反応制御 車体の動き(傾き、速度変化、上下動など)を様々な装置で常時監視し、その変化に合わせてサスペンションを調整する。 路面の凹凸による車体の揺れを素早く抑えるようにサスペンションの硬さを調整。
先読み制御 カメラやレーダーで前方の道路状況を把握し、サスペンションをあらかじめ最適な状態に調整する。 前方の段差を検知し、段差を乗り越える前にサスペンションを調整して衝撃を和らげる。

具体的な制御

具体的な制御

自動車の動きを巧みに操る具体的な制御についてお話しましょう。

まず、車高の制御についてです。空気を利用したサスペンションを用いることで、荷物の量に関わらず車高を一定に保つことが可能です。これは、たくさんの荷物を積んだ時でも、車高が下がりすぎることなく安定した走行を実現するのに役立ちます。また、高速道路を走る際には、車高を低くすることで空気との摩擦を減らし、燃費向上に貢献します。

次に、車体の姿勢制御について説明します。自動車は、カーブを曲がるときに車体が傾いたり、デコボコ道を走るときに上下に揺れたり、急ブレーキを踏んだ際に前後に揺れたりします。これらの動きを制御するために、様々な技術が用いられています。これらの動きを「横揺れ」「縦揺れ」「前後揺れ」と呼び、これらを抑えることで、より安定した走行が可能になります。例えば、カーブでの横揺れを少なくすることで、乗っている人が不快に感じる横揺れを抑え、安定した姿勢を保つことができます。また、デコボコ道での上下の揺れを少なくすることで、乗り心地を良くし、車酔いを防ぐ効果も期待できます。急ブレーキ時の前後の揺れを抑えることで、前のめりになるのを防ぎ、安全性を高めます。

最後に、路面状況に応じた制御についてです。油圧や電気の力を用いた装置を使って、サスペンションの硬さや衝撃を吸収する力を調整することで、様々な路面状況に対応します。滑りやすい雪道では、サスペンションを柔らかくすることで、タイヤが路面をしっかりと捉え、安定した走行を助けます。一方、舗装された道路では、サスペンションを硬くすることで、よりスポーティーな走りを楽しむことができます。これらの制御は、刻々と変化する路面状況に合わせて複雑に組み合わされることで、乗る人にとって最適な乗り心地と、高い走行安定性を実現しています。まるで熟練の運転手が運転しているかのような、滑らかで快適な乗り心地を提供します。

制御項目 制御内容 効果
車高制御 空気圧式サスペンションによる車高調整
  • 荷物積載時の車高維持による走行安定性向上
  • 高速走行時の車高低下による燃費向上
姿勢制御 横揺れ、縦揺れ、前後揺れの抑制
  • カーブ時の安定性向上、快適性向上
  • デコボコ道での乗り心地向上、車酔い防止
  • 急ブレーキ時の安全性向上
路面状況対応制御 油圧・電気式装置によるサスペンション調整
  • 雪道での走行安定性向上
  • 舗装道路でのスポーティーな走行
  • 路面状況に応じた最適な乗り心地と走行安定性

セミアクティブサスペンションとの違い

セミアクティブサスペンションとの違い

乗り心地と操縦性を高めるために、自動車の足回りには様々な技術が用いられています。その中で、よく似た名前を持つ「能動型足回り」と「半能動型足回り」の違いについて詳しく見ていきましょう。

半能動型足回りは、名前の通り、能動型足回りほど積極的に制御を行いません。能動型足回りは油圧や空圧の動力を使って、車高や足回りの硬さを自在に変化させます。一方、半能動型足回りは、外部からの動力は使わず、減衰力調整式緩衝器を使って足回りの硬さを調整します。緩衝器の硬さを変えることで、路面からの衝撃を和らげ、乗り心地を良くしたり、車のふらつきを抑えて操縦性を安定させたりします。

半能動型足回りの大きな利点は、構造が単純で、費用を抑えられることです。能動型足回りは、油圧ポンプや制御装置など、多くの部品が必要で、構造も複雑になります。そのため、製造費用や整備費用が高額になりがちです。それに比べて、半能動型足回りは構造が単純なため、費用を抑えることができます。

しかし、半能動型足回りには、能動型足回りほどの緻密な制御はできないという弱点があります。能動型足回りは、路面状況や走行状況に応じて、車高や足回りの硬さを瞬時に、かつ細かく調整できます。例えば、カーブでは外側の足回りを硬くして車体の傾きを抑え、直線道路では足回りを柔らかくして乗り心地を向上させるといった制御が可能です。一方、半能動型足回りは、緩衝器の硬さを調整するだけであり、能動型足回りほどきめ細かい制御はできません。そのため、路面状況によっては、乗り心地や操縦性が悪化する場合もあります。

このように、能動型足回りと半能動型足回りには、それぞれ利点と欠点があります。どちらの足回りを選ぶかは、車の価格や性能、乗り心地への要求などによって異なります。より高いレベルの乗り心地と操縦安定性を求めるなら、能動型足回りを選ぶべきでしょう。一方、費用を抑えたい場合は、半能動型足回りも有効な選択肢となります。

項目 能動型足回り 半能動型足回り
制御方式 油圧・空圧による車高/硬さ制御 減衰力調整式緩衝器による硬さ調整
制御の細かさ 瞬時/細かい調整が可能 能動型ほど細密な制御は不可
構造 複雑 単純
費用 高額 安価
長所 高い乗り心地と操縦安定性 低コスト
短所 高コスト 制御の細かさの限界

将来の展望

将来の展望

自動車の乗り心地や操縦性を向上させる技術であるアクティブサスペンションは、将来、様々な面で進化を遂げ、自動車社会に大きく貢献していくと考えられます。

まず、様々な状況を把握する技術や、それを基に調節を行う技術の進歩によって、より高度な制御が可能になります。でこぼこ道や高速道路など、路面の状況や車の速度に合わせた、きめ細やかなサスペンション制御が実現することで、乗員はどんな道でも快適に移動できるようになります。

さらに、自動運転技術との組み合わせによって、乗り心地と安全性の両方が向上するでしょう。自動運転中は、システムが周囲の状況を判断し、サスペンションを最適に制御することで、乗員は揺れを感じることなく、安心して移動を楽しむことができます。例えば、急カーブでは車体が傾かないように制御したり、ブレーキ時には前のめりを抑えるといった制御も可能になります。

アクティブサスペンションの可能性は快適性や安全性向上だけにとどまりません。路面の状況を細かく感知し、その情報を他の車と共有することで、道路の整備や管理にも役立てることができます。例えば、道路の損傷箇所を早期に発見し、補修作業を効率化することで、安全な道路環境の維持に貢献できます。

このように、今後の技術革新によってアクティブサスペンションはさらに進化し、自動車の未来を大きく変えていくことが期待されます。より快適で安全な移動体験の実現だけでなく、道路インフラの維持管理といった新たな分野でも活躍していくことでしょう。

進化の側面 内容
制御技術の高度化 様々な状況把握技術と調整技術の進歩により、路面状況や車速に合わせたきめ細やかな制御が可能になり、快適な移動を実現
自動運転との連携 自動運転システムと連携し、周囲状況に応じた最適なサスペンション制御で、揺れを抑え、安全性を向上(急カーブでの車体傾斜抑制、ブレーキ時の前のめり抑制など)
快適性・安全性向上以外への貢献 路面状況データを収集・共有し、道路整備・管理に役立て、損傷箇所の早期発見や補修作業の効率化を実現