ビスカス式

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エンジン

車の心臓を守る!エアクリーナーの湿式とは?

車の心臓部であるエンジンは、常にきれいな空気を必要とします。空気中に含まれる塵や埃、虫、砂などの異物は、エンジン内部の摩耗や損傷を招き、性能低下や寿命短縮につながるからです。エンジンを守るためには、空気中の異物を取り除く空気清浄器、つまりエアクリーナーが重要な役割を果たします。このエアクリーナーには、大きく分けて湿式と乾式という二つの種類があります。かつて主流だった湿式エアクリーナーの中でも、オイルバス式は代表的な存在でした。オイルバス式は、容器にオイルを満たし、そこに濾材を浸します。吸入された空気はオイルに浸かった濾材を通過することで、塵や埃などの異物がオイルに捕集される仕組みです。しかし、オイルバス式は定期的なオイル交換や清掃が必要で、メンテナンスの手間が大きいという欠点がありました。また、吸入抵抗が大きいためエンジンの出力が低下する場合もありました。技術の進歩とともに、濾紙のみで異物を除去する乾式エアクリーナーが登場しました。乾式は濾紙の素材や構造を工夫することで高い濾過性能を実現し、メンテナンスの手間も軽減されました。オイル交換や清掃が不要なため、湿式に比べて維持管理が容易です。そのため、乾式エアクリーナーは急速に普及し、現在では主流となっています。近年主流となっているのは、ビスカス式と呼ばれる乾式エアクリーナーです。ビスカス式は、濾紙にオイルを染み込ませることで、塵や埃の捕集効率を高めています。構造的には乾式に分類されますが、オイルを使用していることから、湿式と乾式の両方の利点を兼ね備えていると言えるでしょう。高い濾過性能とメンテナンスの容易さを両立したビスカス式は、多くの車に採用されています。オイルバス式のような湿式エアクリーナーは、現在では一部の特殊車両を除いてほとんど見かけることはなくなりました。
駆動系

リミテッドスリップデフ:走りを変える

車は曲がる時、左右のタイヤの回転数が変わります。 道を直線で進む時には左右のタイヤは同じ速さで回転しますが、カーブを曲がる場合は内側と外側で曲がる円の大きさが異なるため、それぞれのタイヤが進む距離が変わります。内側のタイヤは小さな円を描くため進む距離が短く、外側のタイヤは大きな円を描くため進む距離が長くなります。このため、外側のタイヤは内側のタイヤよりも速く回転する必要があるのです。この左右のタイヤの回転数の違いを調整するのが差動歯車、一般的にデフと呼ばれている装置です。デフは左右の車軸の間に配置され、左右のタイヤの回転速度の差を吸収する役割を果たします。もしデフがない場合、左右のタイヤは同じ速さで回転しようとします。カーブを曲がる時、内側のタイヤと外側のタイヤは異なる距離を進まなければならないため、タイヤが路面を滑ったり、車が不安定な動きになったりする危険性があります。デフはこのような問題を防ぎ、スムーズな旋回を可能にします。さらに、デフの機能を向上させたものがリミテッド・スリップ・デフ(LSD)です。通常のデフは、片方のタイヤが滑りやすい路面、例えば氷の上などにあると、そちらのタイヤばかりが空回りし、もう片方のタイヤには駆動力が伝わらず、車が動けなくなることがあります。LSDはこのような状況でも、左右両方のタイヤに駆動力を配分することで、滑りやすい路面でも車を安定して走らせることができます。LSDには様々な種類があり、それぞれに特性が異なるため、車の用途や走行環境に合わせて最適なLSDを選ぶことが重要です。例えば、雪道や未舗装路を走る機会が多い車には、LSDが大きな効果を発揮します。